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奈良アートプロム2010
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2010年 10月 08日

画像提供:奈良アートプロム実行委員会

平城遷都1300年祭が話題を集めている奈良だが、いま総勢150人以上の作家が参加する展覧会が同時多発的に開催される『奈良アートプロム2010』(以下、NAPと略称)が開催中だ。NAPによる企画展のほかに、コテンパンダン展として個展・グループ展が同時期に連動して開催され、その数は50か所を超える。地域も奈良市街だけでなく、近隣の櫃原市、生駒市、御所市にも広がり、規模が大きい。

まず、奈良駅に着いたら、Gallery OUT of PLACEか企画展会場に行き、公式マップを手に入れてから各会場を回ることをおすすめしたい。なお、会場の数は多いが、ほとんどの展示が無料で見ることができるのがうれしい。

メイン会場は2つある。1つは国際奈良学セミナーハウス旧世尊院で行われる招待作家展「しりあがり寿:オヤジ山水」だ。言うまでもなくしりあがり寿は『弥次喜多』シリーズでよく知られるマンガ家であり、近年はエッセイ、映像、ゲーム、音楽、アートなど多方面で活躍している。今展では、桃山時代建立の世尊院に映像インスタレーション「オヤジ山水」が作られる。

メイン会場の2つ目がカイナラタクシー綿町ビルで開催されるグループ展「ザ・great 盆地フロンティア」だ。元タクシー会社の長方形の空間に合わせて、公募で選出された9作家による新作が並ぶ。その特異な空間をどのように生かしたのかが見どころである。

他にコテンパンダン展としてさまざまな個展・グループ展が同時期に開催され、「プロム(遊歩道)」の名前にふさわしい。Gallery OUT of PLACEでの「寺田真由美展」、森村誠、野田万里子、関智生らが出品するならまちセンター、中島麦、山田七菜子らが出品する名勝大乗院庭園文化館、古民家を展示会場としたニシガワギャラリーでの徳田奈穂子展、若手作家によるグループ展rooftopなど、見どころの多い展示が並ぶ。

これまで奈良と言えば、仏像や社寺など歴史的なものが中心で、現代美術というイメージはないかもしれない。『奈良アートプロム』の開催を機に、現代美術一色に染まった奈良から、新しい潮流が生まれるかもしれない。

最終更新 2015年 10月 31日
 

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