| EN |

小川美緒:FAMILYFORM
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 9月 28日

画像提供:Port Gallery T
Copyright © Mio Ogawa

現在、神戸芸術工科大学在学中の小川美緒。『FAMILYFORM』の始まりにあたる発表を2009年3月に学内で開催。真っ直ぐに鑑賞者の前に立ちはだかってくる強さと、術の奥に見える不安定な均衡。ひとつの家族の在り方を前にしながら、ある種、宿命的なものを孕む「家族」そのものを突かれた感は、写真から、垂直の力とねじれが起きていたからかもしれません。本展『FAMILYFORM』を、 現在・現地点の完成形と話す小川。ぜひお越しいただきたいと思います。

FAMILYFORM
女だけの三人家族
母はスナックのママ、姉はキャバクラ嬢、私は大学生
パーソナルスペースのない狭い家の中にはものが溢れている
たくさんの化粧品、ドレス、ハイヒール、バッグ
女であることを主張している物たち
それらと同時に増えていくダンボール箱や紙袋
虚飾と現実が混濁する空間
女で一人、子どもを育て上げた母に、賢くて美しい姉に、尊敬に入り混じる混沌
私が曝す彼女たちは私であり、私は彼女たちである

(小川美緒)

小川美緒(Mio Ogawa)
2007年 神戸芸術工科大学 入学

全文提供: Port Gallery T


会期: 2010年9月27日(月)-2010年10月2日(土)

最終更新 2010年 9月 27日
 

編集部ノート    執筆:平田 剛志


カメラを構えた3人の女性。それぞれ等身大サイズの長方形プリントで展示されている。だが同一人物ではない。小川自身と母、姉が同じ服を着て、同じポーズのもとに撮影されたポートレイト写真なのだ。

カメラを鑑賞者へとまっすぐ構える彼女たちの姿は、挑戦的とも言える意思が見える。だが、その背後には本棚や室内に干された洗濯物、床にはぬいぐるみなどの物が雑然と見え、カメラを構える者の背後や身の回りの現実を曝け出す。それは、作家自身の部屋なのだ。

他の作品に同じ服やドレスを着て、顔にブランド品のバッグや紙袋を被ったポートレイトが並ぶ。母と姉妹による女だけの家庭の中で、それぞれが服を変え、立場を変える。その佇まいに顔が見えないながらも、家族であることのつながりが見えてくる。

今展が初個展となる小川美緒。彼女が構えたカメラは、今度は何を写すのか。カメラを向けられた私は、そのレンズの向かう先を見ていきたい。


関連情報


| EN |