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ロシア・アニメーションの巨匠 ノルシュテイン&ヤールブソワ
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 9月 08日

映画にもとづくエスキース「明るい光に向かうオオカミの子」 1985年[F.Y.]
画像提供:三菱地所アルティアム

アニメーション・ファンのみならず、日本をはじめとする世界中の映像作家をも魅了してきたノルシュテイン。 「映像の詩人」とも呼ばれるノルシュテインの映像は、切り絵による繊細な表現で、鋭い観察眼から生み出された詩情溢れる映像世界は人間や世界への愛情に満ちています。

また、マルチプレーンと呼ばれる多層のガラス面に切り絵を配置する手法によって、彼独自の深い映像空間が創り出されます。彼の経験と想い出に基づく映画『話の話』(1979)は、1984年に35人の国際的な評論家や企画者によって、「歴史上、世界最高のアニメーション」に選ばれ、不朽の名作として認められました。

ロシアを代表するアニメーション作家ユーリー・ノルシュテイン(1941-)と、その作品の多くの美術監督を務めるフランチェスカ・ヤールブソワ(1942-)夫妻のこれまでの作品を一堂に集めた展覧会を、ノルシュテインが愛する日本で開催します。

本展覧会では、ノルシュテインが監督をしたアニメーション映画を中心に、夫妻の創作の過程、映画完成後の展開を紹介します。絵コンテやデッサン、映画制作後に再構成された美しいエスキースやコラージュ、切り絵を配置したマルチプレーンを展覧会用に再現したマケット(模型)など、約100点を九州初公開。1981年の着手以来、未完の傑作として知られる『外套』の数十年に渡って蓄積されたデッサンや、深い霧の中の神秘的な世界を堪能できる『霧の中のハリネズミ』のマケットなど、貴重な作品を展示します。また、夫妻の映像作品を鑑賞したことがなかった方にも楽しんでいただけるよう、ヤールブソワが手掛けた絵本を手に取ることができ、それぞれの物語を紹介するライブラリを展示スペースの一画に設けます。その他、松尾芭蕉七部集の連句を映像化した『冬の日[発句]』、製作中の『外套』(部分)など代表的な作品を会場内で上映し、作品で溢れる空間の中で映像を鑑賞することができます。 ノルシュテインは「日常生活の中で気づかれない最も小さな部分が芸術作品では大事な出来事になるのです」と語りました(本展図録より)。

芸術の秋に、ノルシュテインが人生を懸けて創り続ける芸術作品に、多くの方が触れていただく機会となるよう願っております。

ユーリー・ノルシュテイン
1941年、旧ソ連アンドレーエフカ生まれ。1961年ソ連国立アニメーション連盟のスタジオでアニメーションを学ぶ。1967年に初めての映画「25 日・最初の日」を制作。73年「キツネとウサギ」で初の単独監督作発表。代表作に「アオサギとツル」(1974)、「霧の中のハリネズミ」(1975)、「話の話」(1979)等。国内外の受章は30以上に上り、高い評価を得ている。現在、1981年に着手したゴーゴリの「外套」の制作を継続中。

フランチェスカ・ヤールブソワ
1942年、カザフスタン生まれ。 モスクワ映画大学美術学科卒業。ノルシュテインの伴侶であり、その作品の美術監督を務める。

※全文提供: 三菱地所アルティアム


会期: 2010年10月16日(土)-2010年11月28日(日)

最終更新 2010年 10月 16日
 

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