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田中幹:コンテンポラリー
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 8月 30日

elementsシリーズ群
画像提供:乙画廊|Copyright © Motoki Tanaka

乙画廊では 3度目の個展。これまで、その大半を0で表現、ミニマルの未来型ともいえる作品を追求、制作して来ました。言わば、世界共通文字でもある0は最もインパクトの在る数字であり、最も印象的に万人に語りかける術があります。しかし田中のそれは0が概念でしか無かった時代の「概念の塊」として作品を作り上げている様です。そう言った事ではコンセプチュアル・アートに似た風合いもあります。

続々と新色のコンビネーションが生み出される-elements-シリーズは田中の大変な試行錯誤の手技の賜物です。漆工芸と見間違われる玉の様なマチエールは誰もが目を奪われ、そこから更に奥にある宇宙へ引き込まれて行きます。その何も無い事を表す0の塊は大宇宙への入り口なのかも知れません。

作家略歴
1985年京都生まれ。2009年京都造形芸術大学院修士課程芸術表現専攻修了。「VOCA展’09」「奨学生美術展'08佐藤美術館」「シェル美術賞展'06」

全文提供: 乙画廊


会期: 2010年9月10日(金)-2010年9月25日(土)

最終更新 2010年 9月 10日
 

編集部ノート    執筆:カロンズネット編集部


0は何もないこと、無を表す基数だが、その抽象的な数字が田中のキャンバスを覆い尽くす。ギャラリー空間を分断するように展示されたキャンバス作品には0が密集するようにスタンプされ、工芸的な仕上げと透明な光沢感を有する円形の「elements」シリーズには幾層にも塗り重ねられた樹脂層のあいだから0が浮遊するように表面を覆い、装飾的なイメージを作り出している。

グラウンド・ゼロという言葉は英語で「爆心地」を意味する。そう、ゼロには不在の存在を指し示す記号としての意味がある。だとすれば、田中のグラウンド・ゼロの絵画はどんな空間を表しているのか。それは、0に立ち会った者にしかわからないだろう。


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