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ラヴズ・ボディ 生と性を巡る表現
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 8月 11日

デヴィッド・ヴォイナロヴィッチ 《Untitled(Falling Buffalo)》
1988-89 年
Courtesy of the Estate of David Wojnarowicz and P.P.O.W. Gallery, New York, NY

東京都写真美術館では1998 年11 月から1999 年1 月に「ラヴズ・ボディ ヌード写真の近現代」と題した展覧会を開催し好評を博しました。新しい身体表現が出現した1970年代以降の作品に焦点をあて、調和のとれた美しい女性の身体を男性のエロスや性幻想の表象として描く従来のヌード写真を批判的に検証し、生と死と性をめぐる広汎で複雑な身体表現の可能性を探る試みでした。この展覧会では多くの主題が浮上しましたが、その中でもエイズに関する問題提起は重要なもののひとつでした。

今日、世界が共有する問題としてエイズがあります。エイズをめぐる作品は、1980年代から現在まで、特に欧米を中心に非常に多く制作され、これまでの写真や美術のあり方を根本的に問い直す契機となっています。とりわけ「エイズ・パニック」が巻き起こった1980 年代後半から90 年代前半にかけては、エイズは多くのアーティストの命を奪っただけではなく、エイズをめぐってあぶり出された社会的偏見や差別に対する反応の中から様々な作品が生まれました。エイズを抱えた多くのアーティストがエイズに向き合いながら制作し、この「社会的病」を自分たちの問題として捉え、セクシュアリティや他者表現、身体表象、アートと政治の問題などを新たな表現の可能性の中で考えようとする試みが続けられています。

「ラヴズ・ボディ 生と性を巡る表現」展は、美術や写真のある側面に大きな変化を与えるほどに影響力を持つそうした作品の意味を検証し、問い直す試みです。

出品アーティスト
A.A.ブロンソン、ピーター・フジャー、フェリックス・ゴンザレス=トレス、スニル・グプタ、エルヴェ・ギベール、ウィリアム・ヤン、デヴィッド・ヴォイナロヴィッチ、ハスラー・アキラ/張由紀夫

※全文提供: 東京都写真美術館


会期: 2010年10月2日(土)-2010年12月5日(日)

最終更新 2010年 10月 02日
 

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