高橋友 展 |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2010年 7月 26日 |
《a scene in WONDERLAND》2010年 高橋友のペインティングは、ドリッピングされた、ぬめっとした光沢のある盛り上がったエナメルの黒のラインと、その間をうめる筆跡がなくなるまで塗り重ねられたフラットな色面とで構成されていました。「ポップアート」や「かわいい」と言う身振りをみせながら、その色面と視覚的に薄い層により構成された画面は、絵画の基本構造・機能をさらけ出すかのような大胆なものでした。昨年から取り組んでいる新しいシリーズは、フラットでクールな色面が拡大し、イメージが動物等と少し具体化しきています。しかし具体的な動物の画像はシルエットと化し、色面に対して亀裂のような存在となっています。その亀裂の向こうには、少しばかりペインタリーでラフ感のある要素が加えられているのです。それは昨年の作品のタイトルにあった、「wonder」な世界を垣間見る、或いは透き見るハザマとして存在しているのでしょう。 彼女との対話から想像できることは、今までの画面を均質に覆うイメージの強固さから、色面へと視点が代わり、それにともないストーリーの構築に重点が移っているということです。とは言いましても高橋友が取り組むストーリーとは、「私の記憶・想像」からの物語性ではなく、もう少し「ヒストリー」に近いものを目指しているのです。ポップでかわいい身振りはそのままに、絵画の可能性に果敢に取り組んでいるその成果をご覧頂けることと思います。 高橋友 ※全文提供: ギャラリーゼロ 会期: 2010年7月26日(月)-2010年8月14日(土) |
最終更新 2010年 7月 26日 |