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ウォレス・ティン追悼展:ある好色一代男の死。
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 7月 22日

《I'LL SHOW IT ALL, SO COME SOON》1995年|230x290mm, 9x11 3/8in.,acrylic onrice paper
画像提供:ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アート
Copyright © Walasse Ting

絵画と食べる事と女性をこよなく愛したウォレス・ティン。自分自身をバタフライ・ギャングスターと称し、愛と美を求めて女性たちの周りを飛び回りました。鮮やかで生命力あふれる色を使って描かれる女性、花、鳥、動物などのモチーフは、生きとし生けるものへの美の賛歌にあふれています。エロティックな色彩と大胆な構図によって生み出される官能的な作品は、彼の人生そのものと言えるでしょう。

1929年に上海で生まれたティンは、波乱万丈な人生を送りました。1946年に中国を離れ、まずは香港へ。1950年には、彼はお金も仕事も友達も住むところもないにもかかわらず、パリへと向かいました。パリという都会と、はじめて触れるヨーロッパの絵画、特に表現主義運動やピカソの作品に魅せられます。1958年、抽象表現主義が隆盛しポップ・アートが芽吹き始めたNYに移り住みました。サム・フランシス、アンディ・ウォーホルやトム・ウェッセルマンらと親交を深めます。1964年、サム・フランシスと一緒に、今や伝説となったイラスト・ブック『1 cent Life』を出版しました。ティンの書いた詩と一緒に、タシスム、ネオダダ、ポップ・アートなど様々な芸術活動をするアーティスト28人、計62点のイラストを掲載した本は、新世代のアーティストの声明文となり、モダンアートの美術史の参考書となりました。1970年にグッゲンハイム美術館のフェローシップ賞を受賞。1974年にアメリカの市民権を獲得しました。20年以上のNY生活の後、1985年にオランダ・アムステルダムに居を移します。2002年に脳の病気で倒れてから創作を断念し、2010年5月17日に80歳で帰らぬ人となりました。

ティンは、世界各国の著名な美術館やギャラリーで個展を60回以上開催しています。また彼の作品は、グッゲンハイム美術館をはじめ、MOMA(ニューヨーク)、シカゴ美術館、テイト・ギャラリー(ロンドン)、ポンピドゥーセンター(パリ)、香港美術館などに所蔵されています。

今回の追悼展では、ティンが好んで描いた女性、花、鳥がモチーフとなった作品や、伝説のイラスト・ブック『1 cent Life』を展示いたします。

※全文提供: ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アート


会期: 2010年9月10日(金)-2010年10月9日(土)

最終更新 2010年 9月 10日
 

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