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村林由貴:溶け合う層と片隅の妄想。
Editor's Note
Written by KALONSNET Editor   
Published: July 09 2010
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今年4月、京都造形芸術大学GALLERY RAKUにおける個展「溢れ出て止まない世界。」(2010年4月10日~4月25日)で、ギャラリー全体を公開制作によってダイナミックな絵画空間へ変容させた村林による2回目の個展。

今展では、先の個展で見られた混沌は影を潜め、白やグレーを基調したドリッピングされた絵画面の上に有機的、抽象的な黒い線が描かれた絵画と人物等のドローイングが中心に展示されている。前回の個展からすれば大人しい展示かもしれない。

だが、先の個展で「溢れ出した」混沌の世界は、今展では「溶け合う層」として秩序ある構成がなされていることがわかる。例えば、ギャラリーの天井から不規則に吊るされたドローイング作品と壁にかけられた絵画作品の展示にその試みを見ることができるだろう。ドローイング作品は紙の表と裏に対になるように人物が描かれ、紙上において1つ作品へと収斂する。さらにドローイングは、ペインティング作品の鑑賞を干渉するように重なり合い、絵画を多層化していく。

その立体的絵画空間は前回の個展よりもはるかに深められ、奥行きをもたらしていた。

Last Updated on November 02 2015
 

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