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Come into Sight
Editor's Note
Written by Takeshi HIRATA   
Published: July 06 2010
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移ろいゆく自然の事象をモチーフとした天野憲一、川辺ナホ、田中早緒理、野嶋革によるグループ展。

天野憲一は腐敗したレモンを大判プリントで提示することで、果実が有する死のディテールを捉えている。自然が与える時間の痕跡が光の明暗の中に美しく留められた作品である。

世界の細部に着目したのは、「観察ノート」と題する路傍の草花を記録した田中早緒里である。撮影された植物や花にはプリントの余白に学術名が記され、見えていながら、見ていない「雑草」の多様性へと私たちの目を向けさせる。

対して、目を見上げるように展示されるのは川辺ナホの映像作品「fall, float, evenly」だ。テレビ放送終了後に流れる砂嵐(スノーノイズ)を実際の雪の映像によって表現した本作品は、雪の動きと4面の映像が重なり合い、雪降る映像の闇へと引き込まれていく。

モノクロームへと誘われるのは、野島革のエッチング作品である。光と影の諧調が作り出す自然の風景は、自然の大気や神秘性を露わにする。

夏至の時期に合わせて開催される本展を通して、夏へと変わりゆく季節の変化に目を向けたい。

Last Updated on October 31 2015
 

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