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死なないための葬送-荒川修作初期作品展
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2010年 6月 23日

先月、惜しくも鬼籍に入った荒川修作の初期作品を集めた展覧会が開催中である。棺桶のような箱の中に不気味なコンクリートの塊が収められた作品たちは、死に抗うプロジェクトを展開した荒川の活動の原点を確認できるだろう。

展覧会会期中、予想もしない荒川の訃報は、「死」を想起させる作品たちに荒川の存在/不在を想起させてやまない。たまたま同美術館の地階で開催されている「生」に溢れるルノワール展とは対照的な展示内容だが、『ルノワール:伝統と革新』展の強固な「伝統」と比較するなら、荒川は「革新」の作家であり続けた。ルノワールの「革新」が分析や解説を加えないことには見えにくいのに対し、荒川の「革新」は「初期作品」の中に、目に見えて「生き」続けている。

なお、同時開催のコレクション展1では、荒川の渡米後の作品が展示され、京都工芸繊維大学美術工芸資料館(http://www.kit.ac.jp/)においては「荒川修作+マドリン・ギンズ:天命反転プロジェクト」(2010 年5月10日~6月25日)が開催されている。3展を見ることで、荒川修作の「死なない」芸術を経験してほしい。

最終更新 2015年 11月 02日
 

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