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山田七菜子:カワハリ星
編集部ノート
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 6月 23日

少女や妖精たちの食卓、ダンス、あそび・・。だが、色彩は暗く、ムンクの描く絵画のように不安感が漂う。

その不安さは作品の展示にも反映されている。一部の絵画は壁に掛けられるのではなく、壁に「立てかけられている」のである。また、箪笥やアクリル衣装ケースの引き出しが展示に用いられ、引き出しの上や内側に作品が置かれているものもある。本来、ものを収納するために用いられる引き出しがここでは絵画の構成要素となり、用途を失わせる。その設置の不安定さは本展の世界観を象徴しているのかもしれない。

だが、引き出しとは前に「引き出す」ためのものだとすれば、山田の絵画は私たちの引き出しに仕舞われていた感情を引き出すことだろう。夜空に浮かぶ星の光を眺めるように、山田の絵画に現れる「カワハリ星」を見る時、私に不安は消えていた。

最終更新 2015年 10月 31日
 

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