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ルノワール-伝統と革新
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2010年 6月 19日

「ルノワール」展を今見ることの意味とは何だろうか。近年、『MOTアニュアル2010:装飾』展(東京都現代美術館)などで装飾性が再び取り上げられ注目されているが、ルノワールこそ「装飾のための絵画」として装飾画を描き続けた画家であった。

「幸福の画家」という称号を与えられ、女性と裸婦の芸術家として位置付けられるルノワール。本展では「装飾画家」ルノワールに焦点をあて、その画業をテーマ別に紹介する展示構成となっている。その詳細な研究成果はカタログ所収の論文に譲るが、あらためてルノワール絵画の装飾的強度を確認することは、これからの現代絵画において重要な機会になると思われる。また、展覧会に合わせて行われた光学調査の成果報告セクションはルノワールの絵画制作の裏側が判明し興味深い。絵画技法や絵具、画材に関心がある方には特に楽しめるはずだ。

なお、関西でルノワール単独の回顧展が開催されるのは約30年ぶりだという。よく知られている画家だが、まとまって見る機会は意外と少ない。

最終更新 2015年 11月 04日
 

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