| EN |

小田島等:新生代第三紀のアノニマス・ポップ
編集部ノート
執筆: 石井 香絵   
公開日: 2010年 5月 27日

洗剤や造花、ファイルなどの日用品が清潔に並べられた写真作品には、静物画をこよなく愛するものの琴線に触れる要素が沢山詰まっている。それもこの世の虚しさを説くヴァニタス画ではなく、食物や台所の様子を描いたスペインのボデゴン画に通じる新鮮な楽しさがある。

どのモチーフもスーパーで売られている雑貨に過ぎず、作家本人が「好きだから」という他愛ない理由で被写体に選ばれているにもかかわらず、過去のイラスト作品に見られる平面的で淡い色彩に共通するトーンで全体がまとまっているから不思議だ。展覧会と同時に発売された初の作品集『ANONYMOUS POP 小田島等作品集』は、作品を美しく見せる行き届いた編集で、程良い緊張感のある仕上がりとなっている。

最終更新 2015年 11月 03日
 

関連情報


| EN |