ポルトガル現代美術展:the age of micro voyages -極小航海時代- |
展覧会
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執筆: カロンズネット編集
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公開日: 2010年 6月 15日 |
「the age of micro voyages-極小航海時代-」は、現在国際的に活躍する3人のポルトガル人アーティスト、ジョアン・タバラ、マリア・ルジターノ、ミゲール・パルマと映画監督であるペドロ・コスタの作品を通して、現代のポルトガルのアートシーンの一端を日本に紹介する展覧会です。
極小航海時代 大航海時代を切り拓いたとされる大陸の西端の国ポルトガルは、かつて、最初に船出して、最後に帰港したと揶揄されていた。つまり、行く手が虚無に落ち込んでいるとも知れない大海に、勇壮にも真っ先に出帆していったにもかかわらず、辿り着いた先での出来事にあまりにも心を奪われてしまったがために、自国をないがしろにし、その充実を忘れ去ってしまったというのだ。しかもその勇壮な船出でさえ、今日では、植民地主義を先導したものとして、むしろ否定的に言及されることが多い。けれども、いやだからこそと言うべきだろうか、その国やその国の人々は美しい。そしてその国の文化は、独特の陰影で静かに輝いている。だが残念なことに、帰港の遅れは、その輝きをとらえようとする視線さえ奪い去ってしまったようだ。そんな国で、ポスト・コロニアリズム的な認識に基づく自省を通過して、ささやかに、けれども誠実な手つきで生み出されてくるものがある。その微かで慎ましい、けれども深みを湛えた輝きは、かつての船出以上の意味を秘めている。わたしたちは、その輝きを、もっとしっかりと凝視める必要があるだろう。ポルトガルの現代美術作家を中心として構成される『極小航海時代』は、そのための展覧会として企画された。かつてスペインとともに世界をわが手にしていた国で紡がれるささやかな試み、つまり極小の船出は、ポスト・コロニアリズムを生きるわたしたちにとって、何らかの海図としての意味を果たすことになるだろう。むしろこの小さな船出こそが、本当の意味での新しい世界へと誘ってくれるのかもしれない。 (杉田敦・批評家)
アルヴァロ・シザ:ポルトガルの現代建築 トーク・イヴェント 2010年7月10日(土) 14:00 - 16:30 相模原キャンパス10号館1階1011スタジオ 空間に映し出される光や陰影、自然に溶け込む静かな佇まい...。アルヴァロ・シザは、ポルトガルのポルトを拠点に半世紀以上にわたり精力的に活動を続ける建築家です。モダニズムを超えた普遍的な美しさと静謐を創りだす建築により、プリツカー賞や高松宮殿下記念世界文化賞など、幾多の賞を受賞してきました。1950年代に生誕地マトジィニョスから始まった設計活動は、オランダ、スペイン、ブラジルや韓国など、今や世界各地に広がっています。今回は、中村光則、KIKI両氏と杉田敦がアルヴァロ・シザの信念とその建築の魅力について語らいます。
ペドロ・コスタ | Pedro Costa 公開レクチャー 2010年7月31日(土) 15:00 - 16:30 相模原キャンパス2号館2階 224教室 詩情溢れる映像美で賞賛を浴びる映画監督が公開レクチャー!!既存の映画界を拒否して制作をするペドロ・コスタは映画監督でもあり、アーティストでもあります。彼が今まで撮ってきた映画作品を通して、ポルトガルの現代美術についてや人間の想像力の必要性について語って頂きます。7月の新作公開にあわせて来日し、女子美での公開レクチャーが実現します。必見!!
※全文提供: 女子美術大学美術館, 女子美術大学
会期: 2010年6月19日ー2010年8月1日
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最終更新 2010年 6月 19日 |