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小田島等:新生代第三紀のアノニマス・ポップ
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 5月 25日

画像提供:言水制作室

'95年よりCDジャケットや書籍のデザインを手がけ始め、それと平行してイラストレーション、漫画なども多く描いてきた小田島等。スーパー・マーケット、広告チラシ、洗剤、花瓶など、身近な場所や物の姿、日常の風景を素材に組み立てられるその作品は、いつかどこかでみたような既視感や懐かしさを漂わせつつも、揺るがない存在である日常のものたちの美しい佇まいをみせます。

新生代第三紀とは、かつて存在した巨大な生き物たちが、徐々に進化を遂げていた一時代。進化途中の異種混合の生き物たち、そこでうごめく何物でもない何物かたちに想いを馳せながら、小田島等が日常の中に見出したアノニマス(=無名の、匿名の)ポップとは?

展示初日の21日(金)には、過去15年分の作品を編纂した作品集「ANONYMOUS POP」が発売となります。また期間中、オープニング・パーティーでは「アノニマス・ペインティング」、ゲストをお迎えしてのトークなどさまざまな催しを予定しています。作家による飲食歓談の時間「おだじんnoのばあ」も、ほぼ連日開催致しますのでぜひお越しいただければと思います。

■小田島等 初の作品集 「ANONYMOUS POP」 2010.5.21発売!!
100点のデザインと38点のイラストレーションを掲載。約15年分の作品の傑作集。blues Interactionsより発売。特別寄稿 大原大次郎、北沢夏音、楠見清、佐藤直樹、スージー甘金、曽我部恵一

■小田島 等(おだじま ひとし)
95年よりフリーランスとしてCDジャケットや書籍デザインの分野を中心に活躍する。90年代後半はフォーキーと呼ばれる後期渋谷系ミュージシャンたちの作品を数多く手がける。特に95年から解散する00年(08年再結成)まで一貫してアートワークを担当したロックバンド、サニーデイ・サービスのCDジャケット群は、当時の日本語ロック・シーンを代表するヴィジュアルとして、現在でも評価が高い。00年代に入ると、イラストレーションやグラフィックデザインだけでなく、漫画や現代アート的分野にも表現活動の領域を広げる。漫画作品集『無 FOR SALE』(04年)や古屋蔵人、黒川知希との共著ノヴェル『2027』(07年)を発表し、「牧歌SF」を標榜する独自の作品世界を展開。また、01年にはアート・ユニット「BEST MUSIC」を結成し、高円寺・円盤を中心にパフォーマンスを始め、その成果はインストCD作品『MUSIC FOR SUPERMARKET』(07年)として結実する。09年には自身が影響を受けた日本の80年代イラストレーション・シーンのガイドブック『1980年代のポップ・イラストレーション』を監修した。http://www.odajimahitoshi.com

※全文提供: 言水制作室


会期: 2010年5月21日-2010年6月6日

最終更新 2010年 5月 21日
 

編集部ノート    執筆:石井香絵


洗剤や造花、ファイルなどの日用品が清潔に並べられた写真作品には、静物画をこよなく愛するものの琴線に触れる要素が沢山詰まっている。それもこの世の虚しさを説くヴァニタス画ではなく、食物や台所の様子を描いたスペインのボデゴン画に通じる新鮮な楽しさがある。

どのモチーフもスーパーで売られている雑貨に過ぎず、作家本人が「好きだから」という他愛ない理由で被写体に選ばれているにもかかわらず、過去のイラスト作品に見られる平面的で淡い色彩に共通するトーンで全体がまとまっているから不思議だ。展覧会と同時に発売された初の作品集『ANONYMOUS POP 小田島等作品集』は、作品を美しく見せる行き届いた編集で、程良い緊張感のある仕上がりとなっている。


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