木村 了子式:婚活Date ♥ 双六 Start! |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2010年 5月 14日 |
《振り出し:神頼み-縁結び祈願-》 2010年|リトグラフ 木村了子は1971年京都に生まれ、1995年には、東京芸術大学油画専攻を卒業し、97年に同大学の大学院を壁画専攻で修了しました。 木村はこれまで現代社会のさまざまな世俗的テーマを取り上げ、それらを古典的な技法を用いて描いてきました。金箔の貼られた屏風に岩絵具で描かれた大作「おうじさまのくに」では、キリストの宗教画を彷彿とさせるモチーフや画法によって、おとぎの国で日々鍛錬に励む若い王子たちの姿が、生き生きと描かれています。また、絹本に墨で描かれた「鰐虎図」は、東アジア絵画史の定番モチーフ、「龍虎図」に挑戦したものです。水辺で虎とくつろぎ、また、鯉を乗りこなす琴高仙人さながらにワニにまたがる若きターザンの姿がそれぞれに描かれています。古典技法によって表される現代の若者の姿や、神話に準えた現代社会の風潮など、クラシックとコンテンポラリーの混在した世界に生まれる鮮やかなコントラストこそが、木村了子の作品の魅力です。 そして木村が作品の中で一貫して取り上げるテーマにはもう一つのキーワードがあります。それは、現代に生きる女性ならではの視点で捉えられた「エロス」、またはその対象としての人物を描く事です。これまで美術の「人物画」の歴史では、圧倒的に女性が描かれる側であり、木村自身も以前は深く考えず、当たり前のように女性の姿を描いていたと言います。しかしある時、女性である作者が、女性自身の姿を描くことに意味を見つけられなくなり、それならば、と異性である男性の姿を描いてみたそうです。このごく自然な衝動は、作家に「思いのほか、楽しかった。」という率直な感動を生み、その後木村了子の世界は徐々に確立されて行きました。これまで「見る」立場であった男性が、作品中では「見られる」側に置かれ、それを女性である作者が描く事で、二つの性が合わさり、はじめて人間というものが表現されるのだ、と木村は考えます。 さて、この木村了子が、今回「婚活」をテーマに、双六仕立ての作品として制作いたしました。婚活?そう、婚活と言えば、ご存知の通り結婚するまでに必要な活動を、就職活動に文字って付けられた造語です。本来、恋愛から結婚へ発展する過程は人それぞれ千差万別なはずですが、女性の社会進出や、結婚制度の変化によって結婚離れが増え、戸惑いを感じる人が増えて来たというのが、婚活に象徴される社会現象なのでしょう。木村はこの現象に着目し、今回の制作へと至りました。 一コマ一コマはそれぞれが独立した、多色刷りリトグラフによる鮮やかなオリジナル版画作品となっています。本展では、国内未発表の日本画作品も、併せて展示致します。この機会に、たっぷりと木村了子の世界をご堪能ください。 作家コメント 今回の個展は、Start!ということで、「婚活Date ♥ 双六」より振り出しを含めた5,6コマを発表する予定です。まずは「ご結婚」前に、コマごとに異なる素敵なお相手男性と、季節感漂う「デート」をお楽しみいただければと思います。 木村 了子/Ryoko Kimura 2009年 「Born to be wild 目覚めろ、野性!」(布査國際當代藝術空間 台北・台湾)、「Born to be wild 目覚めろ、野性!」(三潴画廊 北京・中国) 2008年 「Prince Come True」 (布査國際當代藝術空間 台北・台湾) 2007年 「Prince Come True」 (旧ギャラリーエス・ミヅマアクション企画 東京) 2005年 「Beauty of my Dish. - 私の男体盛り料理 展」(スパンアートギャラリー) 2004年 「ステンドグラス浪漫 展」 (そごう神戸本店アートギャラリー他、4個所で開催) 2003年 「女性上位時代 展」 (ヴァニラ画廊 東京) 2002年 「個展」 (スパンアートギャラリー東京) 1997年 「半地下多目的スペース 展」(リュ・プラス/モリスギャラリー付属 東京) グループ展歴多数。 ※全文提供: キドプレス 会期: 2010年4月3日-2010年5月8日 |
最終更新 2010年 4月 03日 |