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田尾創樹:Bonnie The Dog
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 5月 19日

画像提供:Take Ninagawa|Copyright © Soju TAO

田尾創樹は、サイケデリックなパターンのミクスメディア・ドローイングやペインティングに、詩や言葉を造形的な要素として組み合わせた作品で知られています。作品制作において、様々なオルターエゴ(別の人格)を創りだし、それぞれのキャラクター、例えば日本版アンディー・ウォーホールを思わせる「Andy Watanabe」のサインの入ったペインティングを、自身のプロダクションカンパニーである「おかめぷろ」のプロダクツとして発表してきました。これらの作品には、しばしば、年老いた博士やヒロイン的少女などが、何度も繰り返し描かれています。

2008年には、フランス人アーティスト、ソフィ・カルに選出されて、CHANELのモバイル・アート展に参加しました。田尾は、道端で出会った女性(富山弘子さん)からシャネルのバッグを中身ごとそのまま買い取り、女性の個人的な環境に加えアーティスト自身の解釈を織り交ぜながら、ペインティング、シャネルバッグ、ライトボックス、ベンチなどを用いたインスタレーションを発表し話題を呼びました。

「Bonnie the Dog」は、2009年に制作したドローイングのシリーズとして描かれた、架空のキャラクターである「Kiss Boy」と同様、ペインティングの中の物語にさらなるアプローチを行うプロジェクトです。「Bonnie the Dog」は、田尾自身が作り上げた戦後を思わせる白黒のアニメーションです。田尾は、10代のブタと彼の従順な仲間である犬のボニーも含め、すべてのキャラクターやその背後にある物語を想像して、テレビ番組から発想を得たシーンを描きました。結果としてペインティングは、壁サイズの2つのパネルからなるカラーキャンバスと、40以上の小さなモノクロームとカラーキャンバスから成っています。存在していない空想のフレームワークの破片がまとまり、鑑賞者によって無限の組み合わせを促します。虹色のカーペットに覆われたギャラリーフロアには、キャラクターを描写している奇妙な立体的作品も展示されています。

田尾創樹
1977年生まれ。ロンドン芸術大学(チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン)卒。2007年東京オペラシティアートギャラリー「project N」、2008年「CHANEL:モバイル・アート展」(香港、東京、ニューヨーク)に参加。同年、原美術館のシャトルバス「ブルンバッ!」のペイントを手掛ける。2009年上野の森美術館「現代美術の展望-新しい平面の作家たち」に選出。

※全文提供: Take Ninagawa


会期: 2010年5月15日-2010年6月19日

最終更新 2010年 5月 15日
 

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