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三輪途道:普通のありよう
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2010年 5月 11日

《子供の立ち位置-秀真》 2009年 檜、漆、白土、彩色|80×38×23㎝ 画像提供:画廊翠巒|Copyright © Michiyo MIWA

昨年、銀座で開催した個展に引き続き新作数点を加え、当画廊では3年ぶり5度目の個展である。三輪途道が長年テーマにしている「日常」というべきある形象を作品としている。

三輪の日々のあたりまえのように経過する生活の中にリアルに生きる、甥や姪、その子供達の服、犬などが写実体で表現される。それら日常の一瞬の表情や物質としての現実が、私たち鑑賞者の目の前にあまりにもリアルに見せられた時、人はたじろいだり、驚いたり、思わず苦笑さえも誘う。そんなあらゆる日常の命のリアリティーの表出が三輪の作品の魅力である。

今日の現代彫刻には相応しくないともいえる木心乾漆という木彫の古典技法も、単なる制作手段ではなく、そのリアリティーを表現するために他の技法に代えることのできない、意味不可欠な技法であることが作品を目前にした時理解できる。

三輪の作品を技法と表現の問題だけで古典美術と呼ぶのか現代美術と呼ぶのかさえ無意味にさえ思えてくる。彼女の作品を見せられた時、美術とは技法や表現の新旧ではなく、いかに今生きる瞬間の真実を、リアルにそして今しかできない作者自身のリアルな本質で、今まで見たことのない又は見せられたことのない形でその真実が表現され、検証されることなのだと思い知らされる。

三輪途道 略歴
1966年 群馬県に生まれる
1989年 東京造形大学造形学部美術学科Ⅱ類(彫刻)卒業
1990年 東京造形大学造形学部美術科研究生修了
1994年 東京藝術大学大学院美術研究科保存修復技術専攻修了

個展:
1996年 ガレリアグラフィカbis
1998 年 「大根の気持ちー上原三千代展」靖雅堂夏目美術店(東京)・保科美術館(群馬)
1999年 「上原三千代展-PORTRAITS」ガレリアグラフィカ
2000年 「上原三千代展-diary」中京大学アートギャラリーCスクエア・ガレリアグラフィカ、「上原三千代展-SELF」画廊翠巒
2001年 「上原三千代展-会いにゆく」ギャラリーイブ、「リアルなココロ-ぬかづけなココロ 上原三千代展」高崎市美術館
2002年 「上原三千代展-REVUE」画廊翠巒
2003年 「上原三千代展-下仁田」画廊翠巒
2005年 「上原三千代展-畳のしめりけ」発電所美術館(富山県)
2007 年 「上原三千代展-育児の作法」画廊翠巒、「三輪途道展-育児の作法」ガレリアグラフィカ★上原三千代より、三輪途道に改名
2009年 「三輪途道展-普通のありよう」ガレリアグラフィカ(東京)
グループ展歴多数。

パブリックコレクション:
高崎市美術館、中京大学、ベネッセアートサイト直島、和歌山県立医科大学、東大寺、日光山輪王寺、群馬県立館林美術館

※全文提供: 画廊翠巒


会期: 2010年5月15日-2010年5月23日

最終更新 2010年 5月 15日
 

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