| EN |

日本画をつなぐ
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2010年 5月 11日

馬強(敦煌研究院美術研究所副所長)《莫高窟220窟 法華経変》2009年|80x110cm 画像提供:京都市立芸術大学ギャラリー

京都市立芸術大学日本画専攻は1880年の画学校創設以来、その伝統を継続する教育が行われてきた。

その間、多くの著名な作家を輩出すると共に、一貫して写生を軸にした基礎教育を実施。自然への共感と対話を通じて豊かな精神を養い、自己研鑽を行うことを目的とし、絵画表現以外の領域でも活躍できる人材を育成し社会に貢献し続けている。

また、本研究室はこれまで東アジアを中心に留学生を受け入れ、その多くは母国に戻ったのち、教育者となり、後進を育てるなど、本学での教育は日本にとどまることなく世界への広がりを見せている。

今展覧会では、京都市立芸術大学日本画研究室が行ってきた教育の成果を以下の3つの項目に章立て、提示する。芸術表現の多様化する現代において、本研究室が地道に行ってきた日本画教育の意義を再確認するとともに、社会におけるその必要性を提言することで、後進にこの静かで豊かな世界を“つなぐ”ことを目的とする。

 

第一章 模写・修復技術の伝承 敦煌壁画
日本画表現の伝統を源流に遡れば、仏教伝来と共に大陸から伝わった絵画技法に行き着く。
中国・敦煌では5世紀ごろに石窟壁画が描き始められ、初唐の影響を強く受けたわが国の法隆寺金堂壁画がそれを証明し日本画表現の歴史の長さを物語っている。
この章では、敦煌石窟の紹介と共に、本学で模写および修復技術を学んだ留学生が現地で行っている保存活動を本学保存修復研究室教員(宮本道夫)の模写作品と敦煌壁画の模写作品を多数展示することにより、模写・修復技術の現在を報告する。
また、関連講座として展覧会会期中に出品者である敦煌研究院美術研究所所長 候黎明氏に、敦煌壁画保存修復の現在をご紹介いただく。

第二章 日本画の発展・展開 京都市立芸術大学日本画研究室の現在
現在、本学日本画研究室に所属する7名の教員(西田眞人、浅野均、綾田勝義、小池一範、日影圭、川嶋渉、小島徳朗)による作品を展示し、日本画表現の現在とその可能性を報告する。
本学開学以来の成果は本年11月京都市美術館に於いて開催される「京都日本画の誕生」展にて報告される。

第三章 中国における「岩彩画」の展開
ここでは、昨年上海において本研究室が主催した「東アジアにおける岩彩画の展開」展の報告を兼ね、現在、国画である水墨画に対し、「岩彩画」として独自の領域を切り開こうとしている中国の作家たちに焦点をあてる。本学に留学し日本画教育を受けた彼らが母国に戻り、どのように日本画を吸収し「岩彩画」に昇華したのか、その動向と教育機関における岩彩教育の現状を、実際の作品と共に報告する。
また、関連講座として展覧会開催中に出品者である上海大学美術学院講師 苗彤先生に、中国における岩彩画の現在をご紹介いただく。

全文提供: 京都市立芸術大学ギャラリー


会期: 2010年6月12日-2010年7月4日

最終更新 2010年 6月 12日
 

関連情報


| EN |