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塩賀史子:彼方の庭
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 5月 07日

画像提供:gallery neutron|Copyright © Fumiko SHIOGA

光溢れる森林の光景を写実的に描写することで知られる作家が、留まることなくその奥へと歩みを続ける。2月にneutron tokyoで開催した同名個展とコンセプトを同じくしながらも、出展作品は全て新作で挑む意欲的な展覧会。

私達の住む世界の傍らに存在する、自然の息吹と天上からの光に満ちたまばゆいほどの世界には、光と影によって織りなされる数多の奇跡がすぐそこに散りばめられていることに気づくとき、当たり前の光景はやがてこの世と彼の地を繋ぐ道筋として、私達の眼前に現れるだろう。

※全文提供: gallery neutron


会期: 2010年6月8日-2010年6月20日

最終更新 2010年 6月 08日
 

編集部ノート    執筆:平田剛志


写実的に森林や花、植物を描き出す塩賀史子の個展。今展は「庭」がモチーフとなり、緑で満たされた画面に、一瞬の光のうつろいが描き出されている。

昨年、東京で行われた個展では森や林の中に降りそそぐ光や木漏れ日が描かれており、ある一定の距離感のもと、風景の中の光と影が描き出されていた。だが、今展の出品作品では、近距離で木々や花が描き出された作品が多い印象を受ける。例えば、『椿』(2010年、162.0×130.3cm、キャンバスに油彩)では、画面全体が緑に満たされた中に鮮やかな花を咲かせる椿や降りそそぐ光が描かれる。葉の緑で覆われた画面は密度を増し、鑑賞者は実際の花を見るように観察することを促される。葉と葉の重なり、形、枝ぶり、光沢、光と影など描き出される差異を見つめるうちに、木々の奥へ奥へと視線は向かっていく。視線を遮るように描かれた葉の隙間から洩れる光は「彼方」の世界へと通じる絵画の光なのかもしれない。

なお、塩賀史子は本年 2~3月にかけてneutron tokyoでも個展を開催しているが、本展はその時と展覧会タイトルは同じだが、全て新作で構成されている。文椿ビルヂングギャラリー(2F廊下)では東京展出品作品を見ることができるので、合わせて鑑賞されることをおすすめする。


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