東信 |
アーティスト |
執筆: 小金沢 智 |
公開日: 2008年 12月 31日 |
(あずま・まこと)1976年7月24日、福岡県福間町(現・福津市)生まれ。花屋。 1997年、ロックバンドのデビューを目指し4人のメンバーとともに上京。バンド活動のかたわら、近所の花屋での募集をきっかけに、日本最大規模の花卉市場である大田市場で仲卸の仕事を始める。次第に花に魅了され、1999年には麻布十番のスーパー内にある花屋を任される。2001年ギンザ・コマツに、注文を受けてから草花を仕入れるオートクチュールの花屋、JARDINS des FLEURSを椎木俊介とともに開店。2005年Tribeca Issey Miyake New Yorkでの松を用いた《shiki》の発表を端緒として、以後国内外の美術館やギャラリーで精力的に作品発表を行う。2006年、自身の畑を茨城県守谷に持ち、花/植物の栽培を開始。2007年公開映画、「さくらん」(監督・蜷川実花)劇中に登場する花の装飾を担当。 2007年4月から2009年3月までの2年間、清澄白河に期間限定のプライベート・ギャラリー、AMPG(AZUMA MAKOTO PRIVATE GALLERY)をオープン。2009年3月〜5月、その集大成となる展示を故郷である福岡の三菱地所アルティアムで行う。同年4月にはミラノサローネと同時開催のトリエンナーレ美術館「TOKYO FIBER 09 SENSEWARE」へ出展、5月から6月にかけては表参道EYE OF GYREにて個展「Distortion×Flowers」を開催し、5月末から7月上旬まで新宿epSITEにて「森山大道「記録」on the road collaboration with 8 creators」に参加するなど、AMPGを終了するもその活動は留まることを知らない。なおJARDINS des FLEURSは2008年3月元麻布に、2009年1月から南青山に移転して現在に至る。 花を扱う芸術として日本には数百の流派が存在する華道があるが、東の作品は形式を重視するそれらの作品とは一線を画す。東の関心は花/植物をあるがままの姿からより〈生かすこと〉に向けられているが、結果としての作品は必ずしもそれらの〈美しさ〉だけに帰着しない。ここで言う美しさとは、表面的なそれのことである。東の作品を成立させているものは、花/植物が朽ち、腐ることをも全面的に引き受け、〈生〉の裏側にある〈死〉を看過しないという視点にほかならない。花屋としての日々の営みが、東にそうした視界の広さを与えたのだろう。 そしてAMPGでの二年間は、それをよりエモーショナルなものにすることになった。すなわち頭で考えるというよりも、これまで経験してきた感覚に対しからだを投げ出すこと。東は、形のないもの、過ぎ去るもの、つまり音楽のような感覚的で瞬間的な要素を花/植物に見出し、一つの表現に昇華する。その突き詰められた瞬間性が花/植物に対する私たちのフィルターを取り外し、それらのまったく新しい可能性を提示している。 活動年表 |
最終更新 2016年 10月 11日 |