Fish&Flower |
アートワーク |
執筆: 小金沢 智 |
公開日: 2008年 12月 09日 |
先月の全面赤の空間とは打って変わり、暑い季節、ギャラリーに現れたのはなんとも涼やかな場だった。今回のキーワードは「鑑賞」。展示室には三つの水槽が設置されたが、その中には魚が泳ぎ回っているだけではなく、それぞれに適した花が活けられている。たとえば最初の水槽にはなめらかな白い体が美しいアロワナが泳ぐ中、その何本もがまとめられたシマフトイと、パフィオペデュラム。その他の二つは、それぞれ黄色と赤という二色を基調にした花/植物と魚が選ばれた。家に水槽を持ち魚を飼った経験がある人は、既視感がありながらも新鮮さを覚えたことだろう。あるいは、こうしたことを自ら行ったことがある人もいたかもしれない。水槽の縁にその身をもたれかけている花/植物は、まるでプールの縁で気持ち良さそうにその体を水にまかせている人のようにも見えてくる。 そうした水槽に加えて写真も壁面に展示されていたのだが、この写真が面白い。約5センチという厚めのアクリルケースに写真がおさめられているのだが、そのケースに水槽と同様、水が注がれているのである。写真に写し取られた花/植物と植物はもはや動き出すことはないが、水はそんなことなく、たゆたいもする。これほど爽快なトリックであれば、いつでも騙されたいと思うのはわたしだけだろうか。 作品詳細アーティスト: 東信 |
最終更新 2015年 11月 01日 |