Damned Ikebana |
アートワーク |
執筆: 小金沢 智 |
公開日: 2008年 11月 24日 |
花/植物をコップに生けた写真が壁面に飾られている。それらはコップの上に乗っていたり、ただコップの横に置かれていたりもする。使われている花/植物は商品にできない廃材なのだが、それはあくまで商品として見た場合のこと。それぞれの形に目を向けたときの美しさや面白さには目を見張るものがある。対照的に、それらを取り巻きに展示室中央に鎮座するのは「JARDINS des FLEURS」やショップ・ディスプレイで出た廃材を一週間分集めて山状にした、名づけて「ゴミ山兄弟」。70リットルのゴミ袋約70袋分からなるそれには、花/植物だけではなく新聞紙やガムテープ、ビニールといったものまでもが含まれている。当初こそ黄や緑が彩りを与えていたが、土から離れ、水分を得ることもできない花/植物は次第に腐り、その嵩を減らしていった。 これら展示全体に付けられた《Damned Ikebana》というタイトルが、東の嗜好からイギリスのパンク・ロック・バンド、Tne Damnedに由来していることは明らかだろう。その音楽が社会的なメッセージというより音そのものに重きを置いているように、東もまた作品が体で感じられることを重視する。だから今回の作品は、ゴミをめぐるメッセージ性の強い作品、ではない。花/植物の備えているフォルム、そしてそれらが集合体となったときの量感を表現した、まさに「生け花」そのものなのである。 作品詳細アーティスト: 東信 |
最終更新 2015年 11月 01日 |