Rip a go go (for Yukio Nakagawa) |
アートワーク |
執筆: 小金沢 智 |
公開日: 2008年 11月 12日 |
中川幸夫(1918年生まれ)を知っているか。池坊の祖母からいけ花を習い、1950年、造園研究家にして作庭家の重森三玲が主宰したいけ花研究集団「白東社」に参加。翌年には池坊を脱退し、アヴァンギャルドな作品を作り続けた唯一無二の花人である。東は花屋を始めた初期の段階で知人からその存在を知らされ、中川が生み出す花/植物のあり方に大きな影響を受けたという。《Rip a go go(for Yukio Nakagawa)》は、東から中川へのオマージュである。 中川はチューリップを用いた作品をいくつか残しており、そのうちの《闡》(1976年)を念頭に東が作ったのが今回の作品である。アクリルケースに閉じ込められた2000株のチューリップは、時間の経過とともに醗酵、液状化し、静かにその形を溶け合わせてゆく。一方で、モニターにはチューリップが血流のように激しく画面を往還する様子が映し出された。いや、正確に言えばチューリップが勝手に動いているのではない。それは東がそのように映し出したものである。けれども、まるでチューリップが自らの意志で動いているような、そう思わせる映像であったということは、強調していいのではないか。花/植物のありうべき可能性。それを引き出すことが東の仕事であり、その過激にして誠実な先駆者こそ中川幸夫なのである。 作品詳細アーティスト: 東信 |
最終更新 2015年 11月 01日 |