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伊東靖和:陶 記憶のいきものたち
編集部ノート
執筆: 田中 みずき   
公開日: 2010年 4月 14日

生物の体の、筋や肉が蠢く様が鮮烈に汲み取られ、生理的感覚がゆさぶられる陶芸作品が並ぶ。生命が持つグロテスクさと、生きる力が漲る美しさの相反する両面を見せてくれる大型の作品が印象的だ。圧巻はトンボがモチーフとなった《dragonfly》だろう。飛びかかってくるようなその姿は、実際のトンボより肉感的であり、身体の器官が晒される形態にアレンジされている。生生しさに一瞬たじろぎつつもそのパワフルな存在観に目を奪われる。
モチーフは、格好やフォルムのアレンジ等からSFのようなストーリー性を孕むので、観ながらお話を考えるのも面白い。技法に関しても、大きな陶芸作品を壊さずに焼き上げる技術はもちろんのこと、どの部分にどのような手法を使っているのかなど、使うテクニックに作者の観察眼が生きているようだ。
幼児などには少々刺激が強いかも知れないが、男の子の心を持った老若男女に、声を上げながら見入ってもらえそうな展覧会である。

最終更新 2010年 6月 27日
 

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