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安藤隆一郎・稲垣萌子:Jungle Project!! - Johnny come lately
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2010年 4月 13日

ろうけつ染めによって平面作品を制作する安藤隆一郎、自身で制作した版画をコラージュへと展開させる稲垣萌子の関西若手作家二人展。
安藤隆一郎の画面は水平や垂直の揺らぎが作り出す不安定さに深みある色彩が背後から支えるように落ち着きを与えている。だが、古典的な技法を使いながら、アニメーションのような色彩感も感じられ、浮遊感が漂う。可能なら距離を取って、見てみてほしい。この色のグラデーションや濃度から次はどのような軸へと動くのか期待したい。同じくろうけつ染めを作品制作に用いている西山裕希子(VOCA展2010出品)の作品とは趣が異なるが、ろうけつ染めという技法を平面作品へと展開していく作家たちが登場していることに新たな平面の可能性を感じる。  続いて、色彩に染められた安藤隆一郎の作品に対して稲垣萌子は余白を生かした作品である。稲垣は版画を制作した後に、それを素材に線が延び広がるようなコラージュ作品を制作する。その繊細かつ精巧に切り取られた線のカット&ペーストは、葉脈や手のしわ、地図の等高線のように線が広がりだす。それは、版画でできることを下地としながらも版画が既定する枠から線を飛び出させる線の解放なのかもしれない。心なしか人体解剖図のように見えたりもするあたり、一筋縄ではいかない気配が伺え、全貌が見られる日を待ちたい。

最終更新 2010年 6月 27日
 

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