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佐東恵:虹彩の断層
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2010年 2月 18日

油絵の具の特徴として、1度塗った絵の具が乾けば、その上から重ね塗りをしても、色が混じらないという点がある。それゆえに油絵は複雑で深みある絵画層を築けるのだ。そんな油絵の具の特性を効果的に技法へと昇華したのが佐東恵の試みである。佐東は下塗剤を塗ったパネルの上に油絵の具を8層ほど塗り重ねた後、彫刻刀やカッターで画面を削り、彫ることで平面作品を制作するのである。そのような技法を知ると斎藤義重のドリルで制作されたレリーフ状の平面作品を想起させられるが、佐東の絵画にはそんな荒々しさはない。精巧な画面に見え隠れする色彩層は、虹のように、下層にある色層の豊かさを想起させるだろう。 そういえば、日本では虹の色は7色だと言われる。佐東の絵画は虹色で作られているのだろうか。

最終更新 2015年 11月 03日
 

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