コトホギス フジイフランソワ展 |
編集部ノート |
執筆: 小金沢 智 |
公開日: 2010年 1月 08日 |
フジイフランソワの古典的な日本絵画風の作品はつかの間の安心ないし退屈を見る者に与えるだろう。けれどもひとたび画面内のおかしみや毒に気づけば引きずり込まれるか嫌悪感を感じるかのどちらかではないか。つまりとても安穏とはしていられない。 作品の多くからは江戸期を中心にした日本絵画からの引用が見受けられるが、それは日本の古典絵画と現代風俗をきわめて明朗に接続した、山口晃や山本太郎、天明屋尚らの作品とはまったく趣を異にしている。なぜならフジイフランソワが多く試みているのは古典と現代の接続ではなく、古典内における図像のカットアップのように私には思われるからである。いや、単に「カット」と呼んでもいいのかもしれない。それほど作品には動物の生首や贓物がユーモアとともに描かれている。年末年始をまたいで開催されている個展「コトホギス」では、約四十点の新作・近作を見る事ができる。 |
最終更新 2015年 11月 03日 |