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美術がまちに繰り出す
編集部ノート
執筆: 小金沢 智   
公開日: 2009年 12月 03日

「美術がまちに繰り出す 鋳物工場での美術展×アトリアでのシンポジウム」は、埼玉県川口市、SMFアートのわっ!実行委員会主催による文化事業。美術展とシンポジウムの二本立てで、「創造」について思考する場を作ろうと試みている。シンポジウム(2009年11月28日)には参加できなかったが、鋳造工場で開催された美術展を見ることができた。 出品作家は、画家の佐藤裕一郎。佐藤はギャラリー58での個展や「META Ⅱ」展の参加などで精力的に大作を出品している作家であり、山形県出身だが現在は川口市に住み制作を行っている。会場である芝川鋳造は今年で創業90年になり現在も稼動する工場で、佐藤の作品が展示されているのも工場内である。旧作から三点が展示されている。 展示のため内部に無造作に置かれていた金型を整理し、作品をその上に置くなど意欲的な試みも行っているが、何より驚くのは、作品が場の空気と調和しているということだ。時間の経過という非人為的な要素によって工場内に深く染み込んだ油の匂いや色が、意図的に〈きれいな〉画面から逸脱するかのごとき作品を制作している佐藤の作品とシンクロし、〈美しい〉光景を作り出している。写真を交えた展示の詳細は後日レビューで報告するが、可能な限り会場に足を運んで作品を体験して欲しい展覧会である。

最終更新 2010年 5月 31日
 

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