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心の眼:稲越功一の写真
編集部ノート
執筆: 小金沢 智   
公開日: 2009年 10月 03日

2009年2月25日に急逝した写真家・稲越巧一の没後初個展。というよりは、生前から準備していた展覧会であるため、生前最後の展覧会として主催者は考えているようだ。 会場は全三フロアある写真美術館の地下一階で、珍しくエントランスから展示室奥までがパーテーションもなく一続きの空間として広く使用されている。整然と、時系列順に並べられた古くは≪maybe,maybe≫(1971年)から直近の≪芭蕉景≫(2009年)までの全七シリーズが明らかにするのは、稲越の視線が次第に人工から自然の情景へと移り変わっていることだろう。≪まだ見ぬ中国≫(2008年)や≪芭蕉景≫が写す茫漠とした風景は、「まだ見ぬ」とあるように捉え難きを捉えんとする稲越の世界観の拡張を見せる。

最終更新 2010年 6月 27日
 

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