| EN |

山田純嗣
アーティスト
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2008年 10月 09日

Junji Yamada

(やまだ・じゅんじ)1974年長野県飯田市生まれ、1999年愛知県立芸術大学大学院美術研究科油絵専攻修了。独自の技法「インタリオ・オン・フォト」(※1)によって、絵画、版画、写真を融合した新しい表現域を開拓する。森閑としたモノクロームの世界が生み出す優美さや、石膏オブジェがかもし出す有機的な質感を特徴とし、国内のみならず、国外にも多くのファンを持つ。 その甘美な美しさとは対照的に、山田の創作活動は、論理的な思考と研究の積み重ねがベースとなっている。自身の描こうとする「美」が、いかにして客観的な「美」になりうるか、構図、技法、オブジェそのものなど、作品の要素となりえる項目全てにおいて、その追及が行われている。山田は「すぐれた作品」について以下のように言及している。

すぐれた作品とは作者の意図を超えてその作品固有の運動・法則を持っている。作品とは作り出されたその時点から固有の運動・法則を持ち始め、作者に制約をしてくる。一見作品は作者の自由な意思によってつくられているように思われるが・・・作者の仕事とは、自分がつくりつづけているその箇所が、当面できあがっているところまでの運動を損ねることがないか目をこらすことだ・・・固有の法則を持った作品は、作者の意図に閉じこもるのではなく、観者に開かれた作品となり、感情を活発にし、記憶を喚起し、思考を深めることができる。(2006年2月、山田純嗣著「作品論」より抜粋。資料提供:不忍画廊)

撮影するオブジェを、針金と石膏で自ら製作するという、何重にも手間を掛けた制作方法の選択にも、自らがイメージしているものが現実の形状となった時に生じる違いに、山田本人が恐れを抱かず、むしろ探究心を持って創作に挑んでいる様子が伺える。独特の作風と技法で既にオリジナリティを確立したかのようではあるが、今後どのように進化していくか、目が離せない作家である。

※1
インタリオ・オン・フォト: モノクロプリントされた写真用印画紙(バライタ紙)の上に、エッチングプレス機を用いて直接刷る、作家独自の技法。無地の紙の上にプレス機等を通して刷られる銅版画を初めとした凹版画に比べ、ゼラチンシルバープリント特有の奥行きのある滑らかな階調と、凹版特有の紙表面にのったインクの立ち上がりによるマチエールが同時に得られるのが特徴。(情報提供: 不忍画廊)

活動年表
1999年
     -    JAPAN CONTEMPORARY ART EXHIBITION(タイ) 出展
     -    ART BOX大賞展 準大賞 受賞   
     -    熊谷守一大賞展 優秀賞  受賞
2000年
     -    浜松市美術館版画大賞展 奨励賞  受賞
     -    日本版画協会展 奨励賞  受賞  
2001年
     -    神奈川国際版画トリエンナーレ 神奈川芸術文化財団賞  受賞
     -    韓日中現代版画展(ソウル) 出展
2002年
     -    高知国際版画ビエンナーレ 出展  
     -    第12回ソウル国際版画ビエンナーレ(韓国) 出展
2003年
     -    青木繁記念大賞展 優秀賞 受賞  
     -    第3回夢広場はるひ絵画ビエンナーレ 奨励賞 受賞
     -    個展(画廊翠巒)
2004年
     -    個展(画廊翠巒)
     -    個展(はるひ美術館)
2006年
     -    グループ展 『名古屋』の美術 これまでとこれから-(名古屋市美術館)
     -    グループ展「KAMOKU」( Lab Gallery・ニューヨーク)
     -    グループ展「Independent-イメージと形式-」(愛知県美術館ギャラリー)
     -    グループ展(不忍画廊)
     -    VOCA2006(上野の森美術館) 出展
     -    BAS2006(Bunkamura Gallery) 出展
2007年
     -    個展(画廊翠巒)
     -    グループ展「Independent -ダブル・リアリティ-」(愛知県美術館ギャラリー)
     -    BAS2007(Bunkamura Gallery) 出展
     -    中華民国第12回国際版画トリエンナーレ (台湾) 出展
     -    レッドセラ国際ミニプリント展(ブルガリア) 出展
     -    クラコウ国際版画トリエンナーレ(ポーランド) 出展
2008年
     -    個展「VISIONS-増殖するイメージ」(高島屋美術画廊)
  7月  個展「DEEP FOREST-既視感の森-」(高島屋美術画廊X)
  7月  個展「FOREST」(不忍画廊)
2009年
  2月  グループ展「現代の造形 Life & Art」(東広島市立美術館)
  6月  個展「絵画をめぐって-The Pure Land-」(中京大学C・スクエア)
  8月  個展「山田純嗣 展」(不忍画廊)
12月  グループ展「現代絵画の展望 12人の地平線」(鉄道歴史展示室、東京)
2010年
  1月  「あいちアートの森」堀川プロジェクト(愛知県) 出展
  3月 愛知県芸術文化選奨新人賞 受賞
  3月 グループ展「第29回損保ジャパン美術財団選抜奨励展」
  4月 個展「―森へ-」東京アートフェア

最終更新 2015年 8月 03日
 

関連情報


| EN |