一ノ宮佳邦は1955年大分県生まれ。1980年九州産業大学大学院芸術研究科修了。福岡を拠点に活動をおこなっており、当ギャラリーで3度目の個展となります。18年にわたって、線と面、色と色の境界を描いた“ストライプ”の作品を展開しています。今回は「Hatching（=線影の意）」、「Stripe」シリーズを中心に、平面作品十数点を展示いたします。
　 均質に塗られた色面と、シャープな線の組合せは一見、幾何学的な画面構成でありながら、豊かな情感と繊細なニュアンスをたたえており「秩序」と「情感」という異なる二つの要素を巧みに両立させた作品です。
　 システマティックかつ精密に引かれた線は、マスキングテープも用いずに丁寧に塗られた純粋な手仕事です。薄く溶いた絵具を綿布の上から刷毛で染み込ませ、一つの色が沸き立つまで何度も繰り返し重ねていく地味な作業で描かれています。正確無比な色の積み重ねによる仕事について、「根底には、“色で人間はうそをつけない”という漠然とした確信があるからなのかもしれません」と語ってています。

【作家コメント】
心責メツ、色染メツ。