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project N 41:喜多順子
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 4月 09日

《WH水原2009ブレンド (モンブラン、栂池、燕、白馬) 》 水彩, 布 153.5×125.0cm 2009 courtesy of the artist and Take Ninagawa 画像提供:東京オペラシティアートギャラリー

喜多順子が描く風景は、どこかで見たことがあるような既視感を強く感じさせます。2005年頃から彼女は、油絵具に代わって水彩絵具をもちい、キャンバスではなくパネルや布を支持体にして制作を行うようになりました。人物を描くことはほとんどなくなり、花、植物、野鳥、山などがモチーフの中心になりました。
  一見すると平明な写生のようですが、描かれているのは現実にはありえない風景です。たとえば、長野県の茅野山とチョモランマが一緒に描かれ、パリの景色とセントラルパークの木々、あるいはアルプス山脈と京都の鴨川が巧みに組み合わされています。このように風景をいわば“ブレンド”することによって、彼女の作品は私たちの記憶の曖昧さに働きかけてきます。記憶の隙間の襞を心地よく刺激してくれるのは、水彩絵具特有の淡い色調と布という支持体がもたらす効果なのかも知れません。
  ※全文提供: 東京オペラシティアートギャラリー

最終更新 2010年 4月 10日
 

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