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京芸 Transmit Program #1:きょう・せい
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 4月 02日

画像提供:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA

 2010年4月、京都市立芸術大学は堀川御池に新設される「堀川御池ギャラリー」内に「京都市立芸術大学ギャラリー」をオープンし、オープニング企画展として、Transmit Program #1 「きょう・せい」展を開催します。本展覧会は、京都芸大卒業生・修了生である新進気鋭の若手作家の中から、第1期と第2期にわたって京都芸大の「いま」を紹介するグループ展です。タイトルの「きょう・せい」は、第一に「共生」を意味します。これはある環境において生物が何らかの関係の下に共存している状態を指す言葉で、常に互助的とは限りません。「共に生きる」という協調的な言葉の背後には、搾取、寄生、排除といった熾烈な生存システムも隠れているのです。人類の歴史とは、こうした熾烈な生存競争を理想的「人間」的関係へ昇華しようとする努力の歴史であった、と捉えることも出来るでしょう。そして芸術は、理想的共生を希求する人間のあり方を、いわばプリズムを通して、時に屈折させながら映し出してきたとも言えます。こうした「共生」の多様なあり方を、本展の出品作家たちは自らの出発点ととらえています。その上で芸術は何が出来るか、様々な人間の生き方や関係を認め合い、共に未来を生き抜くための術としての芸術のあり方を探ります。  「きょう・せい」という言葉の内にはまた、「京都」に「棲む」という意味も込められています。本展出品作家たちが学生生活を送り、そして作家として研鑽を積んだ地、京都。今現在も京都で次代の表現を模索する彼/女らにとって、「京」に「棲む」ことが、まさしく「共生」のリアリティなのです。作家として、日々のくらしに限りなく近いところで、新しい気付きや発見を鮮やかに見せる強さを獲得し、自分たちの創造や表現に誰もが気軽に接し、それを対話できる存在にしたい。ここで生み出される芸術が、この場に集う全ての人と共に生きることを約束できる場であってほしい。
   共に生きる/共に棲む/京に生きる/京に棲むこうした複数の意味をはらんだ「きょう・せい」展をどうぞお楽しみください。
  第1期 平成22年4月2日 (金)~25日(日)
 「きょう・せい」というテーマの下に、第1期が目指すのは「共創」のかたちです。芸術のあり方が多様化した現在、作家たちにとって「人と同じ」であってはならないという意識を消し去ることは難しいでしょう。しかし、頑に個を守ること、それは創造性からは遠ざかる「固さ」と紙一重でもあります。創造的であるためには「柔らかく生きる」ことが肝要です。
   ならば共に一つのものに取り組み、創作を行う作業の中に、個を探ってみようではないか。その「共創」の中で混じり、拮抗し合う個。第1期では一部、実際に作家同士が共同して制作を行いながら、自分たちの創作活動を提示します。
   身の回りの世界に応じて、柔軟に自らのかたちを変えること。自分たちの手の届く世界に閉じこもるのではなく、自分たちには計り知れない大きな流れの中に身を任せること。そのことによって個ではたどり着き得なかった世界を開き、再び個人の中へと還元することができる可能性も秘めています。第1期の「きょう・せい」はその一様態となることを目指します。
  第2期 平成22年5月1日(土)~30日(日)
 第2期では「つくる」という営為に焦点をあてます。作家は、眼前にある日常の所作、製品言語、物質や空間の位相などをずらしながら、世界を「わたし」とのリアルな関わりのもとに開示しようとします。特に今日の若い作家達は、その関わり方を重視するがゆえに制作スタイルを多様に変化させる傾向が強くなっていることが見て取れます。このリアルで可変的な世界との関係は、今日の芸術をポジティブに動機づけていると同時に、不安な時代を生きぬくための一つの手がかりとして共感を呼ぶのではないでしょうか。第2期では、9人の作家によってこのような世界との関係性を鮮やかに表現し、個々を際立たせながらも連続し、円環的に満たされた世界を映し出します。
  ※全文提供: 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA1

最終更新 2010年 4月 02日
 

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