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白岡順:梅雨と白雨
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 3月 26日

画像提供: ブルーム・ギャラリー|copy right(c) Jun SHIRAOKA

画像提供: ブルーム・ギャラリー|copy right(c) Jun SHIRAOKA

ブルームギャラリー1周年企画展。ゼラチンシルバープリント約20点を展示予定。

作家コメント
梅雨、そしてにわか雨のころ、40年間の写真、私が見て、感じて、考えたものを展示します。

日々の生活の中で捉えたイメージ、そこに私の感性のふるえが表出されておれば、そして人々に共感していただければと思っています。
-白岡 順

白岡 順 Jun Shiraoka
1944年 愛媛県新居浜市生まれ
1967年 信州大学文理学部 自然科学科物理学専攻 卒業
1972年 東京総合写真専門学校 研究科 卒業
1967年~1972年 関東学院大学工学部 基礎科目教室 物理実験助手
1972年~1973年 ヨーロッパ旅行
1973年~1979年
ニューヨークに滞在 コロンビア大学 American Language Program で英語を学ぶ(1973-1977)
New School for Social Research, I.C.P などでリゼット・モデル、ネーサン・ライオンズ、フィリップ・ハルスマン、ジョージ・タイスなどに学ぶ(1974-1976)
ニューヨーク補習授業校で数学を教える(1974-1979)
1979年~2000年 パリに滞在 アルザス成城学園で数学を教える(1987-1989)
2000年 帰国
2001年~2009年 東京造形大学で写真を教える。
個展歴多数。

※全文提供: ブルーム・ギャラリー


会期: 2010年6月1日-2010年6月27日

最終更新 2010年 6月 01日
 

編集部ノート    執筆:平田剛志


「白雨」とは聞き慣れない言葉かもしれない。「白雨」とは「明るい空から降る雨。にわか雨」のことだという。梅雨と白雨。白岡順のモノクローム写真を形容するのに、これほど相応しい言葉もないだろう。

かつて文芸評論家・加藤典洋は白岡の写真についてこう述べたことがある。

「黒は水羊羹の黒。白は寒天の透明さ。それはひんやりしているけれどそれだけではなく、口に含むことができる。」(「白岡順 1991作品展「苳の花」」『白岡順』カロタイプ、2010年、p.20[初出『太陽』No.372、 1992年6月号])

窓からの眺め、水滴、黒と白のモノクロームの淡いから現れてくる女性のヌード。写真が現像によって像が現れてくるように、鑑賞の場においても濃密な空気感を漂わせて、像が現れてくる。水羊羹の舌触り、寒天の口どけ、梅雨の蒸し暑さ、白雨の唐突さ。五感(語感)を刺激してやまない白岡順の写真は梅雨時の湿気のように、私の身体に纏いつき離れない。だが、その感触は不快というより、心地よい。


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