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かなもりゆうこ:物語-トショモノ
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 1月 22日

画像提供:ギャラリーほそかわ copy right(c) Yuko KANAMORI

映像、音、オブジェを使ったかなもりゆうこの新作インスタレーション。 かなもりゆうこの映像作品にはありふれた日常の風景、所作が繰り返し映し出される。部屋のカーテンをめくるように、舞台のビロウドのカーテンからひとが現れては消える。パフォーマーが繰り返すシンプルな動き、そして和えかな音、ゆるい緊張感がみなぎる。何かが起こりそうで目が離せない、視るものはかなもりの独自の世界に引き込まれる。

今展のタイトルにあるトショモノとは図書もののこと。 書物へのオマージュ、書物を愛するひとへのオマージュとするという。

※全文提供: ギャラリーほそかわ

最終更新 2010年 3月 08日
 

編集部ノート    執筆:平田剛志


「トショモノ」とは、「図書もの」のこと。トショモノの「モノ」は「物語」の「モノ」。そんな「モノ」が並ぶ本展の展示は「トショモノ」が纏う物語や記憶を誘発ないし喚起させるような映像×インスタレーションである。
展示は「モノ」の気配が混ざり合うように展開される。映像がギャラリーの壁面とテーブル台の台座に乗せられた大型本に投影され、そのまわりにブックオブジェや衣服、小物によるインスタレーションが展開されている。ところが、別々にあるように見えたそれらの展示物(モノ)が、ふいに映像に出てきたりする。そう、相互に展示空間と映像空間が絡み合うのだ。映像が進むにつれ観客は映像やインスタレーションが作り出す物語・時間の中にいることに気づくだろう。
また、ギャラリー空間そのものが映像の舞台として登場するなど、かつてここであった出来事を暗示させる様は、映像とオブジェの往還という点でレベッカ・ホルンの作品さえ想起させる。
最後に「トショモノ」の「モノ」は、「ことば」でもある。人がペンで「もの」を書く姿は魅力的だ。なぜなら、どんな「モノ」が書かれたかわからないから。書かれた言葉は見られるときまで、謎のままなのである。しかし、今ならギャラリーで読むことができるだろう。  なお、中身は異なるが「トショモノ」の展覧会として、靭公園そばのPort Gallery Tで開催中の<本の展覧会『瀧口修造1958-旅の眼差し』を中心に>(~3/27)を続けて見れば、旅のことば、旅の本(=トショモノ)への入り口があなたを待っているはずだ。


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