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宮島達男:その人と思想
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2009年 12月 25日

《NA.AR (voice)》 (1981)  © Tatsuo Miyajima 画像提供:BLD Gallery

宮島達男はパフォーマンスによる作家活動をスタートし、80年代半ばより発光ダイオード(LED)を用いて作ったデジタル・カウンターの作品を制作、発表。88年のヴェネチア・ビエンナーレ・アペルト部門への出品により国内外で注目を浴びて以来、世界的な規模で精力的に活動する現代美術家です。 「それは変化しつづける」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」「それは永遠に続く」という三つの制作コンセプトのもと、「1」から「9」のカウンタ-が、それぞれ異なる速度で明滅を繰り返すインスタレーションは、人間のライフ・サイクルの連続性や永遠性を示しています。 99年のヴェネチア・ビエンナーレでは日本館代表作家として、5×34メ-トルの巨大な壁面に2400個もの発光ダイオードをちりばめた作品《メガデス》を出品し、広島や長崎の原爆による多数の死をはじめ、戦争の世紀であった20世紀を総括することで、非常に話題となりました。 95年以降は初期の頃に行っていたパフォーマンスを再開。また第二次世界大戦中に長崎で被爆した柿の木の実から取り出された種の苗木を世界各地に植樹する「時の蘇生-柿の木プロジェクト」を開始するなど、人間のライフ・サイクルや時間という概念に対して、デジタル・カウンター作品以外の多様なアプローチも試みています。 本展は、宮島達男の作家活動30年の歩みを綴った本が出版されるのを記念し、宮島達男「その人と思想」と題して、作家がたどってきた制作活動やその思想の変遷を、当時の記録写真やドローイング、資料などで検証する試みです。 30年に渡るその作家活動の全貌を、是非この機会にご高覧下さい。

「私は、まだ53歳。北斎や土牛から比べたら作家としてまだ青二才。
生きざまを振り返るには、早すぎる。
しかし、長澤さん(※)の尽力で、このような本が出版された。
良い機会でもあるので、本で紹介された制作態度や思想を表現する展覧会を開いてはと考えた。
当時の未公開写真や、ドローイング、そして私が学んできた書物たちを通して宮島達男が何を考え、どう生きたのかを感じてもらえればうれしい」
- 2009年2月  宮島達男

宮島達男/Tatsuo Miyajima
1957年東京生まれ。東京芸術大学大学院美学研究科修了。「1」から「9」までの数字を使ったデジタル・カウンタ-の作品を国内外で発表。ロンドンのテート・ギャラリーやミュンヘン州立近代美術館、東京都現代美術館などに作品が所蔵されている他、六本木ヒルズ内のテレビ朝日外壁や東京オペラシティなど、パブリックアート作品も多数制作。現在、東北芸術工科大学副学長。 ※全文提供: BLD Gallery

最終更新 2010年 2月 04日
 

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