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はないばら ~秘められた美へ~
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2009年 12月 23日

在知《yuri》2005年

多くの人たちが花を美しいものとして観賞し、愛好しています。そう、花は確かに美しい・・・。

しかし、いったん美しいと形容してしまったとき、私たちの感性はその枠の中に押し込められ、そう見るようにし向けられます。そしてその枠からはずれたものが排除されることを「美」は正当化しさえします。そして現代においては、さまざまな場面で、「美しい」ことは、まるで前提条件であるかのようにも見えます。美しい花から、我々は何を受け取るのでしょうか・・・。

花の咲く茨(いばら)を意味する「はないばら」と題された本展では、花の表現を通して、私たちが美しいと感じる感覚について、美しいと語ることについて考える機会に出来たらと思います。時に美には毒が潜み、美が醜に反転することもあります。その両義性を持つからこそ、花は我々を引きつけてやまないのかもしれません。

表現者たちの作品は、花が蜜で蝶を誘い込むように私たちを魅惑しますが、その表面的に在る美にとどまらず、その奥を透かし見たときに見える美とは一体どのようなものなのか、七人の作家の表現を通じて花の秘められた美をご覧いただければと思います。

※千葉市は「花の都」を標榜し、「花の美術館」を擁しています。また大賀ハス(古代ハス)をキャラクターにした「ちはなちゃん」は千葉市のシンボルにもなっています。

出品作家:
在知(ありとも)・押江千衣子(おしえちえこ)・荒神明香(こうじんはるか)・坂田峰夫(さかたみねお)・須田悦弘(すだよしひろ)・橋本トモコ(はしもとともこ)・丸山純子(まるやまじゅんこ)

※全文提供: 千葉大学/千葉市美術館

最終更新 2010年 1月 13日
 

編集部ノート    執筆:平田剛志


「花の都」と言われる千葉市のギャラリーで開かれる「はな」をテーマとした現代美術展。会場は千葉市民ギャラリー・いなげと隣接する旧神谷伝兵衛別荘の2会場で行われている。旧神谷伝兵衛別荘は国登録有形文化財のためか、靴を脱いでの入場となる。 花のテーマはけっして目新しいものではないが、それが単調さを意味することにはならない。旧神谷伝兵衛別荘の地下室を使用した在知の異色な展示も印象深いが、市民ギャラリー・いなげを会場とした橋本トモコ、坂田峰夫の作品が出色である。旧作から新作まで様々なタイプの作品が展示され、それぞれ作品や空間に則した展示がなされている。そして、花を気にして見ていると、実は「絵画」や「写真」を見ていたことに気づかされるのだ。 余談だが、会場内に職員の方だろうか、さりげなく一輪挿しに花がいけられていた。そんな細やかな気持ちがうれしい。


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