冨井大裕:新作展 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 11月 24日 |
作られるものの定義 ごくたまに、四コマ漫画で、一度ならず、二度三度と、くりかえし読んでしまうことがある。オチも何も、わかってしまってもなお、面白い。面白さがとどまっている。そんな気がして、同じ感情がそのつど、自分のなかに新しく、あらわれる。冨井大裕さんの作品にも、ぼくはおなじ面白さを感じる。タネもシカケもわかっているのに、ずっと見てしまう。むろん、四コマ漫画みたいに、何かが描かれているわけではない。人間がいないし、話がない。カラッポだ。そう、タネもシカケもないのだ。これがほんとに、こわい。そして、そこに、底なしの面白さがある。 冨井大裕(とみい・もとひろ) 略歴 ※全文提供: switch point |
最終更新 2009年 11月 19日 |
色とりどりの折り紙がロール状に丸められて、ユニットを構成する折り紙彫刻。おそらく完全にコントロールされた形態として存在しながら、折り紙という脆弱な素材に連結部分としてホッチキスが付加/負荷しながら自立する構造は彫刻の魅力を発散してやまない。まさに折り紙付きの展覧会。その展示の色彩感は岡崎幹二郎の絵画「ゼロサムネイル」シリーズを思い起こした。 なお、本展には小説家・福永信氏が「冨井大裕さんの新作個展に寄せて」という小文を執筆している。冨井大裕について書かれた文章で、これほど魅力ある文章に接したのは初めてだったが、さらにそのテキストを素材に立体作品まで制作され、美術とテキストのコラボレーションを見ることができるだろう。なお、配布されているテキストの裏面には、立体にする為の指示書までご丁寧に書かれているので、ご自身でも作ってみることをおすすめする。