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渡辺伸|望郷 / 渡辺伸|Life
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2022年 5月 07日

「枝打ち」キャンバスに油彩 520x455mm 2021

130号-0号までの大中小を織り交ぜた新作油彩をGallery惺SATORUとギャラリーから徒歩1分のヴィンテージ北欧家具店BELLBET吉祥寺SHOWROOMの2カ所で合計50点程展示。
Gallery惺SATORUは月火休、最終日17:00迄、BELLBET吉祥寺SHOWROOMは木休、最終日19時迄。

絵を描く

ツェッペリンやジェフ・ベック、クリムゾンなどのロックに目覚めた10代前半の多感な時期に、絵を描くきっかけになったセザンヌやゴッホにピカソ、国吉などに憧れ画集を眺め模写などに興じていた時分から、かれこれ50年近く経つのだが、未だモッサリとした絵を描く髪をだいぶ失った白髪頭の私が居る。まあ、これが現実だと受け入れ夜更けまで酒を飲み気が大きくなった衝動で殴り描きをし、あちらこちらに絵具を撒き散らし、翌朝がっかりする事が多々あり。

新型コロナウイルスの収束が見えない中で過ごす日常生活は大変ですが、明けない夜はないと願い、息を潜めやり過ごしています。新型コロナウイルスの影響、もしくは還暦過ぎの身体をいたわる意味で禁煙、禁TV、禁外飲み…流石に禁酒は無理なので宅飲み。ここ数年は、9時前後に寝て、明け方の3時頃から制作を行う日々を過ごす。

向島の自宅から会社がある京橋まで隅田川沿いをウォーキングしています。この付近は池波正太郎や山本一力などの時代小説や東野圭吾の舞台になっており江戸と東京が交差する。隅田川は、きれいな川とは言えませんが、船の行き来や鵜飼の群れが魚を咥え、カモメが飛ぶ光景は情緒がある。雨が川面に降り注ぎ、傘を差して橋を渡る人々は北斎の描く世界とシンクロする。

現在の制作方法は、「タテタテ ヨコヨコ まるかいて チョン」のリズム。原初的な衝動を、身体を使って筆跡や形、色彩で表現しています。まだまだ思い通りには行きません。描いたり消したりを繰り返す事で絵と対話し、導かれる様に作品を制作しています。まれに“ウムっ”と思うような事に出くわしたりするので続けているのでしょう。映画や本の一節、一瞬で通り過ぎた風景や匂い、旅先の出来事や朝焼けの色。雲の動きや遠くで光る落雷、ちびた鉛筆や石ころのような石鹸にボロボロのウェスなど愛着ある事象を網膜や記憶の底から呼び起こし自身のフィルターを通し社会との繋がりが出来れば幸いです。
2022年3月28日 
渡辺 伸

http://gallerysatoru.com

全文提供:Gallery惺SATORU


会期:2022年5月7日(土) 〜 2022年5月22日(日)
時間:12:00-19:00 最終日17:00迄
休日:Gallery月曜日、火曜日()
会場:Gallery惺SATORU

最終更新 2022年 5月 07日
 

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