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The Human Condition 2009
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2009年 10月 28日

画像提供:タグチファインアート

タグチファインアートでは、人間の本質的・根源的欲求から生み出された美術を、時代や地域にとらわれることなくご紹介するシリーズを「The Human Condition」と題し、機会あるごとに展覧会をおこなっております。第1回の「ジャガーの子どもたちーオルメカの美術」展に続き、第2回目の今回は古代の地母神(じぼしん・ちぼしん)と偶像をとりあげます。

出品される神像や偶像は、地域的にはイタリア、ギリシアからバルカン半島、アナトリア(現在のトルコ)、シリア、イラク、インダス渓谷まで、地球表面の約13パーセントに及ぶ広大な範囲から集められています。時代的には、紀元前六千年紀から紀元前一千年紀前半までという長大な時間のなかで生み出された像たちで、現在まで大切に伝えられてきたものです。

発掘品であるため完全な形で残されているものは稀であり、発掘当時に稚拙な技術によって断片が単純に接合されているだけのものも含まれています。現在の技術をもってすれば、判別できないように修復することも充分可能ですが、今回出品されている偶像たちの多くには敢えてそうしたことがなされていません。それは、これらの偶像がたどってきた歴史に対する敬意、それらに関わってきた人々の想いに対する敬意、土偶や石像に精神性を感じ取り、たとえ壊れていても古いものを大切にし後世に伝えようとする人々の気持ちの連鎖に対する敬意、に基づいています。

今回はアナトリアの地母神像や石偶、ギリシア・テッサリアの土偶など約50点を展示、1点から販売致します。普段は博物館や美術館でしか見ることのできない古代からの贈り物を間近に見ることのできる本展は、大変稀少な機会となります。ぜひご高覧下さい。

※全文提供: タグチファインアート

最終更新 2009年 11月 21日
 

編集部ノート    執筆:平田剛志


全美術ファンに強くお勧めしたい展覧会である。特に、彫刻家及び彫刻愛好家の方々には必見であろう。 展示品はイタリア、ギリシアからバルカン半島、アナトリア(現在のトルコ)、シリア、イラク、インダス渓谷から発掘された紀元前六千年紀から紀元前一千年紀前半までの神像や偶像が展示されている。どれも小さい小品ばかりだが、1点1点の存在感に戦慄し、畏怖と同時に畏敬を感じる作品群である。紀元前から2009年の現在、ギャラリーで作品を見る私の訪れまで滅びずに残った目の前に作品に感謝をしたい。 なお、これらの地母神像は日本では展示される機会が稀なため、見られる機会はたいへん貴重である。お見逃しなく。


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