展覧会
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執筆: カロンズネット編集
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公開日: 2009年 10月 28日 |
片山がつくりだすのは「写真のニセモノ」だ。写真をPCに取り込み、ドロー系ソフトで写真をなぞりイメージをベクトルデータへと再構築することで写真の姿を借りた、コンピューターグラフィックスをつくりだす。
デビュー当初より制作してきた<Vectorscapes>シリーズでは駅やビルなどの無個性な建築内部空間を主なモチーフとしてきたが、今回の個展で取り扱うのは、9.11のアメリカ同時多発テロ事件である。
加速化する情報社会のなかで、この未曾有のテロ事件は、新聞、テレビ、インターネットなど、あらゆるメディアでそのイメージが流され、様々な仮説が憶測された。その全貌はいまだ明らかにされないままである。
片山は、この事件を元に制作されたノンフィクション映画(というジャンルもまた「事実」という名の「ニセモノ」といえるだろう)をモチーフとして、ベクトルデータに再構築されたイメージ世界を描き出す。
実際の事件と、その事件をめぐる人々の想像が生み出した幻影。フィクションとノンフィクションが二重、三重にもなった入れ子構造は人々の信じているリアリティーがまさに『Exchangeable』(交換可能)なものであるとしてその境界線を揺さぶり、曖昧性を暴き出す。
本個展にあわせて制作された大小あわせて約17点の作品を出品の予定。
※全文提供: TARO NASU
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最終更新 2009年 10月 30日 |