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It's a small world:
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2009年 10月 23日

今村遼佑≪ほとり≫2008年|250×250×600mm|ミクストメディア|画像提供:gallery neutron copy right(c) Ryosuke IMANURA

「It’s a small world」と言えば誰でもが一度は耳にしたことがある曲だろう。上記はその歌詞で大きく広大な土地や海がある地球ではあるが、人間同士互いが微笑み助け合うことによってひとつの平和な世界を作ろうと祈る歌である。昨今のエコ対策などにも通じるものでもあり、また偏見、差別、憎しみ、恨み、争い、、、それら無益なものなどが無くなるようにと平和を願う歌は、いつも心にとどめておきたいものである。 今回の冬の企画展は0号以下(立体10立方センチメートル以下)の作品のみで構成されるグループ展。まさに「小さな世界」が点在する空間になる。規定のキャンバスの中で一番小さなサイズ0号は、手のひらに乗せるとほぼ文庫本と同じ大きさになる。小さな画面に描かれる世界には、小説の中で繰り広げられる世界のような広がりがある。もちろん物質量としてはとても小さく、100号サイズの作品が持つ、まるで自分を飲み込んでしまうのではないかというような迫力はないかも知れない。しかし作品が小さいということは物理的な距離はおのずと近くなる。作家の息づかいまでもが感じられるその距離は、大画面の作品では気付くことがないような作品の細部にまで私たちを引き込んでくれる。うっすらと塗られた絵の具の下にあるキャンバス地の凹凸、絵筆の滑らかな動き、キラキラとした鉛筆の粒子、つやつやとした絵の具の塊…それらすべてが小さな作品の中にちりばめられ、大きな大きな物語を紡いでくれる。 目の前の作品を作家と同じ目の高さで見る。制作途中の作家とリンクするその時、作品と私の対話は始まる。「小さな世界」はなんて「大きな世界」なんだろう。高くはない鼻先が作品に触れそうな距離まで近づくと、目の前の世界が現実へと変わる。その世界はどこまでもどこまでも広がっているようだ。
/gallery neutron ギャラリーアシスタント 桑原暢子 出展作家:今村遼佑、瓜生祐子、小倉正志、忠田愛、寺島みどり、中比良真子、冬耳、三尾あすか ※全文提供: gallery neutron

最終更新 2009年 12月 08日
 

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