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大竹伸朗:貼貼貼貼 (Shell & Occupy 4)
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 10月 21日

≪Beach 1≫2009年| 油彩、オイルスティック、カラーコピー、砂、植物種子、ニス、アクリル板、木|40.5 x 31.5 cm|Courtesy of the artist and Take Ninagawa copyright(c) Shinro OHTAKE

2008年より始まった大竹伸朗の個展「貼 (Shell & Occupy)」シリーズの第四弾。

これまでの貼 (Shell & Occupy)展では、新しい表現言語を30年に渡り発展させた大竹伸朗が日本の美術に果たした役割を再検証し、大竹の仕事がいかにして大衆イメージやアンダーグラウンドカルチャー、また都市環境へ言及してきたかをご紹介致しました。

第四弾となる今展は全て最新作で構成されます。今年7月に発表された直島福武美術館財団のコミッションワークである銭湯「I♥湯」と同時期に制作された新作シリーズ「Beach」は、水着姿で微笑むモデルのビンテージポスターや写真が、色彩豊かな油絵具や壁紙、植物種子などと一緒にカスタムフレームに納められ展示されます。歴史的記録としてのポスターは機能を失い、写真か絵画か彫刻か、直島銭湯のテーマとも共鳴するこれらの作品は、太陽と心地よい刺激のあった時代を遠方に移す壊れた窓ガラスと言えるかもしれません。

大竹はこのアイデアを新作コラージュ「色憶」にも発展させます。密に貼り込まれた写真や印刷物によって作られる複雑なテクスチャーを土台に、身体性を伴ったカラースタディーが展開されています。幻覚を呼び起こすような赤、黄、青、紫の油絵具の塊が、写真や印刷物のもつ記録といった役割を無効にし、情報を読み解くことで得られる安心感や、安全のための自制というものを打ち壊します。「色憶」を展開させた、二つのパネルを貼り合わせた3メートルに及ぶ建築的大作「色憶帯」も今展のメインピースとしてご紹介致します。

また、現在、富山県立近代美術館で開催されております「I BELIEVE:日本の現代美術」では、貼(Shell & Occupy)、貼貼 (Shell & Occupy 2)、貼貼貼 (Shell & Occupy 3)で出品しました全作品が紹介されております。

全文提供: Take Ninagawa

最終更新 2009年 10月 17日
 

編集部ノート    執筆:小金沢智


昨年からシリーズ化されているTake Ninagawaでの大竹伸朗の展覧会。2009年では初となる。タイトルからも明らかなように印刷物や絵具、あるいはゴミらしきものすらを「貼」(る)ことがその作品の性質を集約しているが、大竹の作品がただ「貼る」ことにないことは作品を見れば明らかだ。つまり、ベタベタと様々なものがあたかも無作為に貼られているように見える一方で、画面の所々には抜けがあり、イメージの層がいくつか同時に見えるように作られている。それこそが、大竹の作品をノスタルジックな、内省的なものとして見せず、常に新しい、生々しいものとして見せることに成功している要因にほかならない。


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