ある風景の中に |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 10月 04日 |
見慣れた風景を、見つめてみる。あるいはそこで聞こえる音に耳をそばだててみる。すると、普段は意識していなかったさまざまな物や音が、風景の中にあることに気付くでしょう。本展では、私たちの身の回りにある風景をあらためて見つめてみたいと思います。 出品作家6名はいずれも、耳慣れた音や身近な既製品を用いて、作品を制作します。犬の鳴き声や室外機の出す音、あるいは、サンダルや造花、扇風機といった物。彼らは、私たちの日常生活の中に既にある、そうしたものを取り出したり、操作したりすることによって作品にしているのです。 私たちが見ている風景とは何か。そこには何があるのか。それぞれにアプローチの違う6名の作家たちの作品は、私たちの身の回りにある風景そのものの豊かさを感じさせてくれるでしょう。 出展作家 全文提供: 京都芸術センター |
最終更新 2009年 9月 15日 |
聞き慣れた音や身近な既製品を用いて作品を制作するアーティストたちの作品から、私たちの身の回りの風景を見つめ直す音響風景論とも言うべき展覧会。思わぬ場所に展示されている作品もあるので聞き耳をたてるように、注意深く会場を巡ってほしい。 本展の白眉は梅田哲也の≪○(しろたま)≫に尽きるだろう。この複雑精妙予測不能なルーブ・ゴールドバーグ・マシン(NHK「ピタゴラスイッチ」やペーター・フィシュリ&ダヴィッド・ヴァイスの『事の次第』(1987)を想起せよ)の作り出すサウンドミックスは、私たちに見たことも聞いたこともない音響的空間を与えてくれるだろう。また、この空間に入った鑑賞者たちが皆一様に笑顔になるのも、いい「風景」だったことを付け加えておきたい。 なお、会場の京都芸術センターは入場無料なので「試聴」はもちろん無料である。