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ラグジュアリー:ファッションの欲望
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 10月 03日

コム・デ・ギャルソン(川久保玲)ドレス|1997年春夏 京都服飾文化研究財団所蔵、畠山崇撮影

「ラグジュアリー」は日本語で「贅沢」と訳されるように、視覚的な豪華さ、そしてそれを身体にまとったときの特別な感覚、洗練をきわめるという精神的な満足感など、余剰から生み出された豊かさを意味してきました。

現在、私たちは、産業の発展によって物質的に恵まれた生活を送ることができるようになりました。一方でそのために引き起こされるグローバルな諸問題の解決に取り組まなければならない状況にあります。そうした中で、私たちが求める豊かさの現れである「ラグジュアリー」に対する考え方も大きく変化しつつあります。

本展は、社会の動きや私たちの欲望を何よりも敏感に反映しているファッションを通じ、「ラグジュアリー」という視座から時代や社会の価値観の変遷を再考するものです。視覚的にラグジュアリーで贅沢な表現から、より個人的で知的な遊びにも近いラグジュアリーまで、京都服飾文化研究財団(KCI)のコレクションから多角的な視点で精選した17世紀から現代までの作品約100点を展示します。

ブランド/アーティスト一覧(アルファベット順)
Balenciaga / Beer / Chanel / Christian Dior / Comme des Garçons / Courrèges / Grès / Issey Miyake / Lanvin / Louis Vuitton / Madeleine Vionnet / Maison Martin Margiela / Paul Poiret / Pierre Cardin / Roy Lichtenstein / Schiaparelli / Thierry Mugler / Viktor & Rolf / Worth / Yves Saint Laurent

全文提供: 東京都現代美術館

最終更新 2009年 10月 31日
 

編集部ノート    執筆:平田剛志


ユニクロ、FOREVER 21、H&Mなどの「ファストファッション」と言われる低価格帯のブランドが話題を呼ぶ今、「ラグジュアリー(贅沢)」をテーマとした展覧会は時代にズレていると思われるかもしれない。だが、「ブランド」とは「ラグジュアリー」があるからこそ人々の注目を集めるのではないか。 17世紀から現代のメゾン・マルタン・マルジェラまでの展示を通して見えてくるのは、ラグジュアリーという「概念」の変遷である。視覚的ファッション史を通して、あなたにとって「ラグジュアリー」とは何かを考えてみてはどうだろうか。 さらに、プレイステーション3の高画質画像拡大技術による出展作品15点の高精細画像は職人の「贅沢」な技を知ることができる。 また、企画展示室アトリウムで展開される特別展示<妹島和世による空間デザイン/コム・デ・ギャルソン>はファッションへの建築的アプローチが示され、見事なコラボレーションを見ることができるだろう。なるべく日中の太陽光で見ることをお勧めする。


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