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700nm
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2014年 5月 15日

 

1992年、レントゲン藝術研究所で発表された村上隆の「シーブリーズ」(金沢21世紀美術館蔵)で作家は、感動の原点が光の反射であるならば、 より強い光を発生させる装置があれば、より感動するのではないか、と800wの水銀灯16個を画廊内で点灯させた。単純に視覚とは何か、という事 に強烈なアプローチをかけた作品であった。

美術作品を見る、という事、それはその作品に反射する光を見ているという事に他ならない。アイデア、コンセプト、テクニック・・・そうしたものを 内側に閉じ込めながら、我々は反射光によって色を見ているに過ぎないのである。
一方で作品に込められた思いや情熱と言ったものは、我々の視覚に錯覚を起こさせる。黒澤明の作品を見て「夕焼けが真っ赤だった」というイメージを 持っている人は少なくない。白黒映画にも関わらずである。 芸術家の言説に、こうした生理と感覚の交差と齟齬を加えることによって作品はより魅力的なものになりうるのではないかと考える。

レントゲンヴェルケは常に作品の普遍性について言及し、それに基づいた作家のセレクション、またグループ展のコンセプト構築などを行って来た。今 回のグループ展に於いてはそれを視覚という原点に求める事で、新しい切り口から美術作品の在り様を求めて行こうという試みの第一回となる。

今回グループ展のタイトルである「700nm(ナノメートル)」とは国際照明委員会 (CIE)が「赤」と規定している光の色の事である。しかしながら、この展覧会においては単純に赤色を使う、といった作品だけではなく、赤が感覚的に表現 されたものをも含んでいる。

ところで、赤は、物理的な波長のみで、あるいは眼への生理的な刺激としてのみ語られるものではない。色にはその民族がもつ価値観が象徴的に意味づ けされていくからである。特に赤は、多くの象徴性をもつ色のひとつ。 古来、聖母マリアのマントの色として使われてきた赤は、神の子による購いの血の色である。これは、近年において革命で流された血の色として国旗な どに使われている。
日本では太陽の色としてあがめられてきた。西洋では太陽を黄色=光、として捉えているのとは対照的である。もちろんその結実は日の丸の赤に他なら ないが、同じものが国によって違う色で表象されるという面白い事例といえよう。
もちろん、日本にも赤と血の関連性をもった例がある。還暦になると赤いちゃんちゃんこや、赤い座布団が送られるか、これは新たな生命力(血)を与 える象徴となっている。
赤は太陽の他、火の色でもあるが、それゆえにエネルギーを感じる色でもある。実験によると、赤い色を見ているだけで体温がわずかに上昇するらし い。それゆえに、情熱や熱血という象徴性もある。これは国旗の色として、情熱(イタリア)、博愛(フランス)、勇気と正義(インドネシア)などに 現れている。

1995年、バーゼルのギャラリー・バイエラーは「誰が赤を畏れるか?」と題した赤色を中心とした近現代美術の逸品によるグループ展を開催してい る(もっともこれはバーネット・ニューマンの60~70年代の連作のタイトルを元にしているが)。およそ20年、期せずして京都en artsにても「eeny, meeny, miny, moe| red」と題した、赤をテーマにした作品展が開催された。表現を巡る様々な紆余曲折を経て再び視覚という原点に立ち戻る時期が来ているのかもし れない。

■出展作家:あるがせいじ、磯部勝士郎、神庭祈永歌、児玉香織、塩見友梨奈、悠、森本愛子

☆オープニングパーティは5月11日(日)15:00~
(通常と日程が異なりますので、お気をつけ下さいませ)


全文提供:レントゲンヴェルケ
会期:2014年5月9日(金)~2014年6月29日(日)
時間:11:00 - 19:00 ※金土日曜日のみ開廊致します。平日はお電話にてご予約下さい。 
会場:レントゲンヴェルケ
最終更新 2014年 5月 09日
 

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