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河井美咲:Homeland 2020
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 8月 06日

画像提供:Take Ninagawa copyright(c) Misa KAWAI

今展では、紙や木、布、また世界中の100円ショップなどで見つけてきたバリエーション豊かな素材をもとに、ビデオとサウンドを加えた巨大なインスタレーションの新作を発表します。国内では、2006年にワタリウム美術館で開催された「ボロボロドロドロ」展以来の大規模なインスタレーションとなります。 日本のアンダーグラウンドコミックにみられる「へたうま」美学や、100 円ショップなどでみられる安価なグッズの奇妙なデザインに影響を受けた河井美咲は、友人や知人、またはアイドルなど、周りに存在する人々をキャラクターに、宇宙ステーションや、飛行機、カーレーシングといった世界を立体作品につくることで知られています。またその影響は、明るい色で描かれた、笑っている木やストロベリー、動物たちの絵にもみられます。

「Homeland 2020」は、画廊空間いっぱいにインスタレーションされた、宇宙のどこかに存在する惑星「地球」というアミューズメントパークです。この並外れた風景には、噴火している火山や「コブラ・コースター」と名付けられた回転ジェットコースター、回転ブランコ、巨大なタコ、また筋肉マンという名の建築物のようなタワーが登場し、そこにインストールされたビデオからは、Homelandのキャラクター達がNHK教育番組のように歌を歌ったり、気象予報や、太陽電気の宣伝を放送しています。

歴史を通して定期的に表面化するカルト的アイデア、ニルヴァーナを直感的に反映する一方で、河井の「Homeland 2020」は、現実のグロテスクなユートピア - 人類の遺産でもある大阪道頓堀やディズニーランド- をも同時に内包します。河井の制作の細部、色やデザインパターン、テクスチャーや有機的形態に現われる偏執さと生命力は、田中敦子や草間彌生といった偉大な日本の先人を思い起こさせます。彼らと同様に、世界の中に世界が重なりあう様子は、未来が現実の重力から解放され、くるくる回転しているような、自由なビジョンを提示しています。

今展の同時企画と致しまして、9月3日より10月13日までGALLERY at lammfromm(代々木公園)で河井美咲のカットアップを中心とした個展が、また9月6日にHARCOZA(代官山)でライブパフォーマンスが開催されます。また、Nieves (スイス)より出版されます河井美咲のアーティストブックもオープニングに合わせてラウンチされる予定です。河井美咲は現在バレンシア近代美術館での「Visions of the Frontier」展に11月15日まで出展しており、今年10月より富山県立近代美術館で開催される「I BELIEVE:日本の現代美術」への出展も決定しております。

全文提供: Take Ninagawa

最終更新 2009年 8月 29日
 

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