| EN |

石庭美和:時の集積と追憶
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2013年 1月 15日

"K少年像" 2012 | Acrylic, gold leaf on cotton cloth, panel | 27.3x22.0cm | (c)Miwa Ishiba

GALLERY MoMo Ryogoku(スペースB)では、2月23日(土)から3 月23日(土)まで石庭美和の初個展「星のこどもたち」を開催致します。

石庭美和は1973年東京都生まれ。武蔵野美術短期大学グラフィックデザイン科中退後イラストを中心に制作、2006年の「GEISAI #6」にて注目を集め絵画に転向しました。2008年以降私たちのギャラリーに於けるグループ展に参加して、寡作ながら作品の発表を続け、今般初の個展開催となりました。

初期の作品ではアクリルによる日本画風のタッチで動物や植物などを描き、2006年以降は人物を中心に描くようになりました。2009 年の「portrait:ハル」はその後誕生する作家自身の子を彷彿とさせ、振り返るたびに予兆を感じさせる作品であるかのようで、驚かせられます。

モチーフになる人物は子供が中心で、抑え気味の感情表現を繊細なタッチで描いています。最近では「半径3M 以内のモデル」と言うように、作家自身の子供が被写体になるようで、今まさに作品として広い世界へと飛び立とうとしています。

親子の関係は日常性と母性の中にあり、現実の子育ては父親のそれとは違い、客観性よりも感情的な日々の戦いであろうと想像されますが、描かれた子供はそうしたものを廃し、子供の中に潜む純粋なものをすくい取ろうとしているかのようです。

そうしたペインティング作品約4 点とドローイングが出品されます。同年代の佐藤栄輔作品と共にご高覧いただき、人物表現の違いにも着目いただければ幸いです。

[作家コメント]
7年ほど前、これからは絵を描いて生きていこうと思い立ち、それまでに無いほど真剣になって子供の絵を2枚描いた。それは何かの予兆だったのだろうか、直後に描いた絵に良く似た息子を腹に授かり、全ての文化的な活動が出来なくなった。時が経ち、今ようやく、しかし、少しずつ制作が出来るようになり、また再び子供の絵を描いている。
描いた絵は、我が子をモデルにしたものとそうでないものがあるが、いずれも何処と無く西洋風な顔立ちに見える。日本語しか喋れないにもかかわらず、絵具は日本古来の画材では無いし、アトリエや食卓で毎日聴く音楽はクラシック。息子はお寺付属の幼稚園に通いつつも、親同様、お稽古のジャンルは西洋文化ばかりだ。
そんな捻れた時空の中で日々を過ごしながら、今日も半径3M以内にあるモデルにかたちを借りて早朝に少しずつ絵を描いていく。朝とは名ばかりの星の輝く空を見ながら。

2013 年 石庭美和

[作家プロフィール]
石庭美和

1973 東京都生まれ
武蔵野美術短期大学グラフィックデザイン科イラストレーション専攻中退

[グループ展]
2002 「ふたつぶ展」ゑいじう(東京)
2003 「ナイーブアート」ペッパーズギャラリー(東京)
―― 「ふたつぶ展」ゑいじう(東京)
2004 「原画展」上智大学・カトリックセンター(東京)
2005 「愉悦の時」White Cube 京都(京都)
―― 「絵本の種展」ゑいじう(東京)
2006 「GEISAI#9」東京ビッグサイト(東京)
2007 「絵本の種展」ゑいじう(東京)
2008 「New-laid eggs 展」Gallery MoMo(東京)
―― 「Opening Exhibition」GALLERY MoMo Ryogoku(東京)
2009 「Summer Group Show Hop Step Jump」GALLERY MoMo Roppongi(東京)
2010 「Visage vol.2」GALLERY MoMo Ryogoku(東京)
2011 「再生」GALLERY MoMo Ryogoku(東京)

オープニングレセプション:2013 年2月23日(土) 18:00 - 20:00

全文提供:ギャラリーモモ両国


会期:2013年2月23日(土)~2013年3月23日(土)
時間:11:00 - 19:00
休日:日・月・祝
会場:ギャラリーモモ両国

最終更新 2013年 2月 23日
 

関連情報


| EN |