展覧会
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執筆: 記事中参照
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公開日: 2009年 5月 27日 |
車窓からの眺めは、僕に「ここ」以外にも確かに世界は存在しているのだと教えてくれる。生涯でどれだけの光景を、どれだけの「世界の姿」を見ることができるのだろう?日々の生活の中で、どこまでも広がりをもっているこの「世界」を僕は当たり前のように頭の片隅に追いやり、考えることもない。 車窓からの眺めは、そんな僕にあらためて世界は途切れることはなく、繋がっているのだと思い出させてくれるのだ。 かつてある政治学者が、「車窓からの眺めは、奥行きがなくなり、単なる絵画的平面の全く同じパノラマ世界の一部になった」と説いたが、今の僕たちにとって、この平面的な眺めを運ぶ空間は、実際に「世界の姿」を垣間見させてくれる装置だとは思えないだろうか?クリックひとつで海を飛び越え、「ここ」から遥か遠くの他の国を覗ける「いま」は、絵画的平面と酷評された景観ですらも移動という体験を通して僕の身体に、この視覚に「世界の広がり」を感じさせる。 過ぎ去っていく景観は、僅かな余韻を残すことさえあれ、僕と関わることはない。ただ、世界は繋がっていると無言の内に伝えるのみである。 大西 正一
大西 正一 1980 京都に生まれる。 2003 神戸芸術工科大学視覚情報デザイン学科卒業。 個展 2007 「Sequence 」The Third Gallery Aya(大阪) 2005 「in-between 」CAP HOUSE(神戸) グループ展 2008 「Art Court Frontier 2008 」アートコートギャラリー(大阪)
※全文提供: The Third Gallery Aya
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最終更新 2009年 5月 09日 |